トランクルームとスレイベル

ゲームの感想 乙女ゲ多め

死印 感想

エクスペリエンスさんの恐怖アドベンチャーゲーム、「死印」をさっそくプレイしたので個人的な感想をば。
核心的な内容には触れていませんが、体験版の内容やシステムとかエンディング数などについて述べてますので、NGな方は閲覧をお控えください。
大丈夫な方は続きからよろしくお願いします。
 
死印

死印

 

 東京都H市、この郊外都市に最近奇妙な噂話が広がっていた。
シルシ”を持つ者は死ぬ――
突如体にまるで噛まれたような痣“シルシ”が刻まれ、原因不明の死を遂げるというものだ。
事実この町では、人が謎の不審死を遂げる怪奇事件が発生していた。
この事件は都市伝説的に、どこかで幽霊に遭遇したせいだ、知らぬ間に呪いに祟られるようなことをした、 などとさまざまな憶測を元に広まっていった。
記憶を失ったあなたは、“シルシ”を持つ者を保護するという洋館の前にいた。
何かに引き寄せられる様に洋館の扉を開くと、館の主である美しい人形が出迎えた。
「ようこそ、九条館へ」
続けて人形は語る。
「このままでは、あなたは死にます。」
「ただ、助かる方法がない訳ではない。」
“死”へのカウントダウンはすでに始まっていた……。

公式サイトより。

まずは簡単に要素ごとの感想です。
 
シナリオ:面白かったです。
体験版をプレイして、都市伝説集とか新耳袋っぽいのやりたい!と思って購入したのですが、予想よりきちんと「主人公の話」が設定してあって良かったです。ただ私とこのゲームシステムが相性が良くなく、あまり怖くなかったのは残念でした。
あともう少し怪異の数欲しかった…。
キャラ:勿体なかった。
詳細は省きますが、濃そうなキャラ揃いなのに特定のメンバーとじっくり…というタイプのゲームじゃなかったのが非常に惜しかったです。
あまりそっちによるとホラーよりキャラゲーになってしまうから?
ボリューム:ちょっと物足りないかな。
一周目8時間半、トロコンに11時間ほどでした。
希望小売価格が4,800円(DL版は4,320円)というお手頃価格なのでやむを得ない感はあるのですが、個人的に値段は高くてももう少しボリュームある方が好みです。
システム:特徴的で興味深いけど…。
ダンジョンRPG+ホラーという面白いゲームでした。
システム的にすごく親切な部分もあり、ここはもうちょっとなんとかならんかってとこもあり。この辺も後述します。
ビジュアル:良かったです。
油彩(?)ぽく質感がはっきり伝わる絵柄で大好きです。
特に怪異のビジュアルが絶妙に気持ち悪くて最高でした。
サウンド:良かったです。
BGMも雰囲気にあっててよかったのですが、環境音多めなところが私は好きでした。
別作品名出して本当申し訳ないですけど、ドラマのト〇ックとか和風ホラーで出てきそうなSEも良かった。
 
 

感想

睡眠時間を削って一気にクリアしました。面白かったです。
小さいエピソードの寄せ集め形式かなって思ってたら、章同士で意外な関連があったり最終章に繋がったり、綺麗にまとまっていると思いました。
残念ながらあまり個人的な恐怖度は高くなかったんですけどね!(;'∀')
 
まずシステム的な話をしますが、このゲーム、ざっくりアドベンチャーパートと心霊スポット探索パートに分かれてます。
アドベンチャーパートは拠点となる九条館で死印や怪異について情報をまとめたり、選択肢が発生したり、印人が加入したり脱退したりします。
もちろん探索中も何かあるとイベントが挿入されます。
中にはデッドリーチョイスといって、ミスすると即死する選択肢なんてものも。
探索パートはダンジョンRPGのような感じ*1で、ちょっとスマホとかの脱出ゲームにも似てるかな?
心霊スポット内をうろうろして、怪しそうなところにポインターを合わせ、アイテムや情報を集めていきます。
調べられるところは光ってたり、探索のフラグを回収し終わるまで怪異とのバトルは始まらない親切設計ですので、初心者でも苦手な方でもある程度時間をかければクリアは可能だと思います。ただこの親切設計が仇となったというか。
 
それを踏まえてまずは好きなところを。
探索パート、本当に探索している感があって私は好きでした。
肝試しとかでよく見るスポット(廃校、樹海、地下壕)をうろうろできる疑似体験ができて満足です。
雰囲気ある背景の中を懐中電灯で照らして進むので、序盤は本当手探りって感じで怖かったです。
また今回購入を決めた目的は「怖い話がたくさん詰まったゲームがしたい*2」でしたので、こちらも満足でした。
都市伝説的というかネットフォークロア的というか、B級ホラー臭のする怪異が複数見れて楽しめました。怪異はなんとなく既視感はあるけど、きちんとこの作品のオリジナルという絶妙なバランスでした。
彼らの噂をまとめたり謎の声に導かれたりして、生き残るためにはどの選択肢を選ぶべきか、どのアイテムで立ち向かうべきかをああでもないこうでもないと考えるのはすごく楽しかったです。でも勘は良くないので滅茶苦茶死にました(笑)
あと怪異のビジュアルがすごくいい。絶妙に不気味で気持ち悪くてドンピシャでした。
ホラー映画とかでもチラ見せ段階では滅茶苦茶怖いのに、お化けの全身が画面に映ると「あれ思ったより怖ないやん」ってなりがちなんですけど、死印はそんなことなかったですよ!
バトルの時とか(正解の組み合わせが分からないこともあって)じっくり見つめたりしました。
一応彼らの由来も明かされるので、その辺もすっきりです。
これに関しては伏せたままの方が怖くていいという方もいると思うので、個人の好き好きかと。
主人公関連に関しては購入前は正直全然期待していなくて、「なぜ彼なのか」「どうしてこんな状況になってしまったのか」という理由づけがきちんとあって嬉しい驚きでした。
各章ごとに一応関係性があったもの良かったですね。
ゲームシステムは理解の上で購入しましたし、購入目的も満たされたので概ね満足しました。
 
 
ただ「ここをもう少しどうにかしてくれたらもっと良かったかも」という残念なところもいくつかありました。
まずはボリューム小さめということ。
プレイ時間は上に書いてますが、全章でさくっとクリアできてしまいました。
怪異の数もそれに比例してしまっているし、いくつかの心霊スポットは(新たなエリアは出現するけど)使いまわしです。
もっとお値段はってもいいから、もっといっぱい怪異欲しい…!と個人的には主張したいです。
それに関連してか、印人関連もあっさりめ。
自分の問題が解決するとあっさり館を去ってしまう人多数。いいキャラが多いのでもっと色々な彼らを見たかった。
そしてこのゲーム、ストーリーは基本一本道。
怪異ごとに破壊と救済の二種類の解決方法が用意されてますし、エンディングも二つあるのですけどあくまで差分というか…内容はほぼ同じ*3です。
選択肢をミスしたり怪異への対処を間違えると話が分岐するのではなく、即死ゲームオーバーになります。
ボリューム厨&マルチエンド大好き人間なので、やっぱりちょっと残念だなという気持ちはありました。この設定で違う結末も見て見たかったです。
このように作品全体が短めのため、せっかくのラストの真相関連の収束感も小さくまとまった印象になってしまって残念でした。
次に機能面が微妙ということ。
ADVパートもあるので、バックログとメニューからのセーブデータ読み込み、スキップ機能の既読・強制切り替え機能は欲しいところです。
一応ロードに関してはタイトル画面に一度戻ることで可能ですし、探索中やデッドリーチョイスで死ぬと直前からコンティニューも出来るので、不便というほどではないのが救いですが。
でもたとえ重要な選択肢でなくとも「あっちを選んでいたらどういう展開だったんだろう」と気になってしまうプレイヤーは一定数いると思います…。
アップデートでどうやらいくつかの要望には対応予定らしいので、頑張ってほしいです。
 
あとは本当に蛇足の、なぜ怖くなかったかという個人的なメモ。
一言でいうと慣れ、ですね~…。
他のゲームでも言った気がしますが、私トライ&エラーを繰り返していると段々緊張感が薄れてきてしまう人間でして。
段々「これ死ぬかも~嫌だ~」から「くそっまた死んだ、今度こそ攻略してやる」という負けん気の方に心情がシフト。
結果緊張感は霧散しました(;`・ω・´)b
序盤は本当に探索してる感があっておっかなびっくりだったのですが、上で書いたようにフラグが立たないと進行しない親切設計なんですよね。死んでもすぐやり直せるし。
それ自体は悪くないというかむしろありがたいことなのですけど、私はフラグに気付けないガバガバプレイヤー。
一時間以上も廃校(体験版ステージ)をぐるぐるしました。
そのため章クリア時にはなんならもう母校にでもいる気分。「あ、自由研究の展示? 教室まで案内しましょうか?」みたいな感じ。
この辺は個人の資質によるものが大きい気がしますし、ずっと緊張感を保てるよって方には問題にならないと思います。
ユーザビリティを高くしようとした結果のことと思われるので、一概に改善してほしいとは言えないのが難しいところ。
 
 
 
総合すると私は好きな作風でしたが、ボリューム不足を含む惜しい点が目立つな…という感じでした。
体験版をやってみて何か刺さるものがあるなら、その雰囲気を裏切ることはないのでお勧めです。
お付き合いありがとうございました。
 
 

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*1:調べたらその道の老舗でした。

*2:個人的に重要なのは怪異が複数種類、というところです。

*3:おそらく。トロフィーも全部出たのでこれ以上エンドはないと思いますが間違いがあったら訂正します。