トランクルームとスレイベル

ゲームの感想 乙女ゲ多め

7’scarlet 雑感とヒノ・イソラ・トア感想

発売おめでとうございます!
既にヒノ、イソラ、トアクリア済なのでそちらの感想とか雑感などを。

ネタバレしてます。そして若干辛口注意。

7'scarlet

7'scarlet

 

 ゲーム全体の雑感とか

・短いです。共通短めということを差し引いても全体的にコンパクト。一周目二時間ちょいでした。ガチガチに攻略制限有というのだけは聞いていたのでフルコンプ前提作品で総プレイ時間はそれなりになるとも思いますが、もっと一つ一つしっかり書いてよ!と思わなくもないです。
・攻略はものすごく簡単。順々にフラグ立てていって……というより一つの決定的な選択肢でEDが決まるタイプ。そしてどれがその選択肢なのかわかりやすい。久しぶりにまったく攻略サイト見てないです。あとでED数の確認とTips関係でお世話になるかもですが。
・OPはすごく凝ってて良いです。実写風も挿入歌の方も。どちらも公式サイトで見れます。しかしその分白背景にスチルが表示されてスタッフロールが流れるだけのEDは力尽きた感がすごい。
・背景も素晴らしかったです。遠くにゆるキャラがいる場面できちんと登場させたり、建物に火がつくシーンも実写っぽい火がゆらゆらしていたり。しかしそれを見てトイボックスの別ゲームが頭をよぎった。
・倉花さんはキャラデザのみのようです。スチルはジュエリックナイトメアの人かな?絵心のない人間からするとオトメイトの影武者さんはみんな優秀だと思いますが、まあ倉花さんではない。

「ミステリーと題打つ乙女ゲームは…ゴニョゴニョ」とか「トイボックスと倉花さん…魔都…ウッ頭が」とかなんのかんの言いつつ期待していたようです。スペシャギグスは買ってない。わかりやすく不可なところはないんですがなんというか薄く感じてしまいました。

そもそも三人攻略時点であんまりミステリーしてない。事件は起こるけど誰が犯人だ?とかあれはどういうことなのか?とか登場人物やプレイヤーに考えさせるような展開にならない。三人プレイして今のところ「奥音里で兄を探すも手掛かりなし→山奥での転落事故、殺人事件が相次いで発生→猫の仮面を被り意味深なことをいう男に主人公が襲われる→助かるけど犯人の正体その他については(結局逃げられたとか身元不明とかで)詳しい説明なくエンディング」の流れです。いっそ伝奇ホラーではだめだったのだろうか。
奥音里禁忌倶楽部ももっと七不思議とかについて探ったり考察したりするのかと思えば基本バーベキューしたりご飯食べているだけだし。オフ会ってもっとその集まりにちなんだことするんだと思ってた。おそらく真相ルートはあるのだろうし、現在その伏線張ってる段階なんだったらフルコンプ後評価が変わる可能性はありますが。
恋愛面ではイベントが結構唐突(これは一人あたりの文章量が限られてるから余計そう感じるのかと)だったりフラグ管理おかしかったりします。致命的というほどではないですが、「ん?」と違和感はあります。
あと色々意味深な設定がある主人公なんですが、割と猜疑心が強い。ずっといっしょにいた幼馴染のヒノは別として、直前までいい雰囲気になっていたイソラ、トアについては容赦なく「実は犯人なのでは?」「私は遊ばれているのでは?」と疑います。また書き方が「何か違和感に気づいて段々嫌な方向に考えが向いて疑いを持つ」というのではなく、まず「イソラくんが犯人なのかも」と結論を出してから言い訳、後付けのようにこれまでの不審なふるまいをあげていくのでなんだか容赦ない印象を覚えてちょっと笑ってしまいました。そして面食いの気あるよね、彼女。
日本神話モチーフの名前のキャラクターが多いのでルートや正体もそれに関連するかな、と思いましたが今のところさっぱりです。今の時点で無理やり真相を考えると主人公はコノハナサクヤヒメの化身かなんかかな?子供のころ亡くなって兄にその時連れ戻されたかなんかした屍者かとも思ったけど屍者は人を殺し続けないといけないようだし。兄は実兄じゃなさそう。奥音里は黄泉に通じる土地で叢雲家が管理していた…とかこの辺は当たらずとも遠からずな気がします。これで日本神話云々は全部ミスリード雛見沢症候群的なあれだったらどうしよう。

……長々書きすぎました。以下キャラクター感想をざっくりと。やっぱりネタバレしてます。

 

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迦具土ヒノ(CV島崎信長)

主人公と同じ大学に通う幼馴染で、兄の失踪のことが頭を離れない彼女を奥音里に誘った張本人です。主人公をずっと好きだった枠その1。
元気でいいヤツです。会話もテンポがよくて彼のおかげで(ルート外でも)日常パートはぐっと明るくなってました。
ちょっと気になったのは恋愛イベントが若干唐突というか後から突っ込んだ?みたいな感じがあるというか。知り合いが通り魔に刺された直後なのに、夜間呑気に中学校のプールに忍び込んだりしちゃだめでしょ。危機感はどこへ。
夏祭イベントの射的でいきなり倒れるのでびっくりしましたが、実は子供のころ主人公と逃亡中の連続殺人犯に遭遇しており、その際面白がった殺人犯に銃を渡され「自分を撃てれば主人公は助かる」と試されますが結局撃てず、その直後乗り込んできた主人公の兄が犯人の頭を撃つところを目撃してしまう、という「そらそう(心的外傷必須)よ」な過去持ちでした…。主人公はショックすぎてそのことそのものを覚えていませんでした(というより過去の記憶がほぼあやふやなようです)が、それをきっかけに体を鍛えて主人公を守らねばという責任感を持つようになった模様。ルート終盤何者かに足を撃たれて治療中の状態でも、主人公のピンチに駆けつけているので努力は実を結んでます。
余談ですがその猫仮面に襲われるところで、そいつがすごく意味深な発言をする*1のですがその辺の詳しい説明はなし。しかしイソラ、トアルートよりよっぽど猫仮面が喋っているので(この二人のルートではあくまで連続不審転落事故の犯人というだけの扱い)なぜトアに制限がかかっていてヒノにかかっていないのかわからない…。
ノーマルエンドではそこで主人公は助けるもののヒノは足の傷がもとで亡くなってしまうんですが、ハッピーエンドではきちんと助かります。一瞬亡くなったか?みたいな演出があるのでこっちがノーマルかと思った。ずっと好きだった幼馴染と結ばれるというのは王道ですがいいものです。

 

 

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甘梨イソラ(CV柿原徹也)

主人公たちが成り行きでバイトすることになった奥音里唯一の宿泊施設、風厘館の臨時シェフ。軟派なパティシエ志望。ずっと好きだった枠その2。
主人公は苺が苦手、という会話をルート通して三回ほどするのでまさか屍者は苺が食べられないのか?と思ったけど全然違った。主人公は子供のころ一時期奥音里に滞在していたことがあって、その時お菓子作りはじめたてのイソラと知り合い、彼の痛んだ苺を使ったタルトを食べて体調を崩したためそれ以来受け付けなくなったというのが本当のところでした。しかしそれでもイソラのお菓子は美味しいからまた作ってと言った主人公が彼の初恋でそれ以来ずっと好きだったようです。
毎回「苺苦手」「え?なんで?」みたいな初めて知ったみたいな会話をするのがちょっとホラーっぽくてよかったけどイソラどころか主人公も特に「あれ?」みたいなリアクションがないのでそういう演出なのか監修が仕事してないのかわからなくてもやもやしました。ADVでこういう会話の(作為的でない)違和感は致命的だと思うんですけど!!!これだと真相に関わるかもしれない部分も意図しておかしいのかミスなのかわからなくなってしまうので。「前も言ったかもしれないけど」って一言付足すだけで印象違うのになあ。強引に解釈するなら最初は初恋の子か確認するつもりで、それ以降は思い出してもらうか気づいてもらうために何度も同じやり取りをしていた、って感じでしょうか。
そんなイソラくん、主人公が通り魔(例によって猫仮面)に襲われると光の速さで彼女を地下に監禁(軟禁?)します。一応主人公も納得ずくだし基本「ご飯美味しい」でしあわせそうなのでそこまで緊迫してないんですけど……うん。殺人事件の後で心配していたとはいえ買い出しに行く主人公のあとをこっそりつけてたことといい、「(主人公が怪我したのが足じゃなくて)手だったら僕が全部お世話できたのになー」とかぼやいたことといい、結局地下に忍び込んできて主人公に害をなそうとした猫仮面を激昂して何度も殴りつけていたことといい、この子ヤバいよ。いきなり地下に連れ込まれたときは「監禁!?また唐突だな~」と思ったけど違った。元々そういうパーソナリティで、それが露見しただけにすぎませんでした。

ノーマルもハッピーも地下でのあれこれで負った傷のため入院しているイソラのお見舞いに行くシーンがあるんですが、ノーマルだとお礼だけ言ってさようなら、ハッピーだと告白されて再会の約束をします。でも正直主人公は彼とのお付き合いはもう少し考えた方がいいと思う。面白かったけどね。

 

 

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櫛奈雫トア(CV森久保祥太郎)

猫が好きでおどおどと話すオタクっぽい青年。ずっと好きだった枠その3。
ピリオドキューブのアストラムの時も思いましたが二次元のオタクキャラは好きかもしれない。アストラムとは若干話し方の系統が違いますが。
ちょくちょく会話に交じるアイドルの話題、トアの「八が好き」発言等々で結構な方がルート前に気づいていると思われますが、トアが件のアイドル「エイト」です。とはいえネタバラシがあるのは中盤以降なのであくまで親しくなるのはトア。だからか主人公もエイトといるよりトアの方が落ち着く、みたいなことを言っています。八が好きだからエイト?と思ってたらアイドル名表記は「A-to」でした。名前そのままだった。イソラのルートでイソラが自分の名前をひっくり返して使うシーンがあるんですがまさかこれも伏線のつもりなのか。
イソラと同じくトアも実は子供のころ奥音里に住んでいました。奥音里が観光地だったころの温泉宿が彼の実家だったのですが、とある事件をきっかけに叢雲家の圧力がかかって潰れてしまいます。このことや子供のころいじめられていたことからトアにとって奥音里は複雑な場所だったようです。その頃偶然会った主人公に歌を聞かせて喜ばれたことがどうやら彼のアイドルとしての始まり。あれデジャヴ。今回組んでいたアイドルグループが解散してソロとして活動することになり、始まりの地である奥音里できちんと再スタートしたいという思いから住人限定ライブを企画して訪れた、というのがトアの事情でした。
奥音里非公認ゆるキャラの奥音パンダ誕生の秘密も微妙に重たかった……。経営が苦しくなった祖父母の温泉宿をどうにかしたいと小さいトアが一生懸命考え出したキャラクターだったようです。しかし奥音里をふらふらしているあの着ぐるみ中の人は誰だったんだろう?こういう事情なのでトアかと思いましたが、特にそれらしい発言はなかったし、ゲーム期間中はまだいいとしてもアイドル活動中は物理的に無理だろうし。最後にちらっと書いてますがこれもユアかな(もしくは主人公兄)と思ってたんですけど。現状不明。
まあつまりトアにとっても主人公は初恋で今の自分の起点になった人物です。まさか攻略対象全員かつての知り合いなんだろうか。

そしてやっぱり気になってしまったのですが、ノーマルエンドから見ようとわざと選択肢を外していると一部イベントが発生せず主人公との過去の話も出てきません。にもかかわらずノーマルエンドでいきなり「最後にもう一度充電」だの「12年も待てた」だの初出のキーワードが飛び出して「あっ(察し)」ってなりました。やりなおしてハッピーエンド見て納得。何度も言いますがこういうフラグ管理というか整合性って大事だと思います。

ノーマルでもハッピーでも主人公が一足先に奥音里を出る際、「きっと縁がつながっているからまた会える」みたいな今生の別れみたいなシーンが入るのですが正直「なんでや」と思った。現代日本なんだからメールでもなんでもできるでしょ…。ハッピーでは実際手紙が来ますけどね。
このルートで今まで頑なに立ち絵を出さなかった自警団が登場。怪しい!!!奥音里以外で職質されないなら警官が叱責されるレベル。叢雲家の率いる陰陽師(?)集団とかかなあ。どうやらソウスケとは知り合いらしいので次のルートで何が明かされるか楽しみです。
気になるのが自警団との会話シーン(トンネル前でも猫仮面の時も)でトアの様子がおかしかったこと。何か思い当たることがあって驚いているのかと思いきや特にその後なにごともなく。あと姉がいるらしいのですが絶対ユアだと思ってました。名前似てるし最初の頃の会話で若干様子がおかしかったような記憶があるので。くわえてクシナダヒメってスサノオの奥さんだったはず。でもこれも特になにもなかったです。深読みしすぎかな。

次はソウスケいってきます。 

 

※「7'scarlet」のバナーに使用されている画像の著作権は、アイディアファクトリー株式会社およびトイボックス株式会社に帰属します。

*1:兄は死んだ、主人公は特別なので特別な場所で殺す、自分みたいなのに主人公はこれからもずっと狙われる、など