トランクルームとスレイベル

ゲームの感想 乙女ゲ多め

魔女王 キャラクター感想

 

以前書いた全体感想に続き、魔女王のキャラクターごとの感想です。

ルート内容、真相にも触れていますので、ネタバレNGな方はご注意ください。

大丈夫な方は続きからどうぞ。

 

 

ドロップ (CV代永翼)

勇者パーティの魔法使い。

初回プレイ時(知っていても) 話の流れにツッコミの手が止まらなかったところ、彼が「具体的な方策のない情熱は絵空事というんだ」みたいな言葉をくれるので、首振り人形みたいに同意しました。でもそれも結局うやむやになってしまうけども。

ドロップとはゲーム冒頭が初対面なのですが、彼もこの世界の人間の例にもれず魔王=悪という考えで主人公を敵視してきます。ただ彼は学者肌というか知的好奇心が何よりも優先されるタイプの人間なので、それを突破口に段々仲良くなっていきます。
この知的好奇心というのが曲者でして、メンバーの中では一応常識人枠なんだろうけども、研究のためなら遠慮なく主人公から血を強奪したり一帯の魔物を狩りまくったりします。(血を取るために)自分で攻撃しておいて我に返ると罪悪感を見せたり、そのアンバランス感がちょっと怖かった。

ちょっと親しくなってからの2人は学園モノで例えると真面目なガリ勉男子×悪戯好きなリア充女子といった関係性で、からかうのが楽しい~みたいな雰囲気でした。

ドロップが主人公に心を許し始めるきっかけに関しては、わかりやすくて良かったです。
この世界では魔法使い=魔に連なるものとして世間的な評判があまり良くありません。勇者のパーティに入っているとはいえドロップも例外ではなく、陰では色々と言われて避けられています。
その辺の事情を知った主人公が、ドロップのために怒ったことが彼にとっては特別だったのだと思います。
元々魔法を研究し始めたのも勇者のパーティに入ったのも、貧弱な体に劣等感があってみんなに認められたかったかららしく。敵であろうとも、自分を尊重し好意を示してくれる相手を蔑ろにできないのは納得できます。

主人公に情が湧き始め、葛藤しながらの「お前は魔王だから好きになるわけがない。嫌いだ」と言い続けながらキスするシーンは好きでした。嫌いが好きにしか聞こえないとは主人公の言ですが、全くその通りでした。

 

 

アトラス (CV前野智昭)

魔族を憎んでいる勇者。主人公とは幼いころ友人だったはずだが、なぜか記憶がない。

どのルートでも大概聞く耳持たずに殺しに来るので、恐らくプレイヤーのヘイトを集めやすいポジション。設定を考えると致し方ないのでなんとも不憫。

衝撃の「好き!」「俺も!」の1人目。
前半がとにかくツンツンしてて寄ると触ると主人公に斬りかかってくるので、告白後あっさり恋人関係になってしまうのは本当に衝撃でした。もっとこう……魔王と結ばれる葛藤とかさあ……。
そういう作戦かな?とも思いましたが (そちらの方が納得できる分マシ) 違いましたね(;'∀')
一応ラストに好きになった理由と時期について補足が入りました。大分初期から好意はあって、それを打ち消すために殺意マシマシだったみたい。その辺の懊悩をちゃんと見たかったですね。

恋人になってからは主人公のことは無条件で信用してくれ、パーティにも引き合わせて一緒に行動するようになります。主人公がハーレムを築くのがハッピーエンドへの近道のような気がしてきた。

意外なことに、このルートでは何故アトラスが主人公に関連する記憶を失っているかは明かされませんでした。ガッツリ他の攻略対象のイベントが入るので、なんとなく予想はつきますが……。代わりに主人公父(元魔王)周辺の黒ーい事情が明らかになって、ED付近の優しい空気とのギャップが凄かったです。

あとこのゲーム、嫉妬イベントが複数のルートに存在するのですが、個人的には彼の理由が一番飲み込みやすかったですね。
主人公に関しては全然自信も余裕もないんですねーアトラス。
好かれるような振る舞いをしてこなかったことは自覚してるし、主人公が好きになったのは過去の自分では?と思っても記憶が戻らないので比較も出来ないという。そりゃ焦るよねえ、なるほどなー。

 

 

サミュエル (CV諏訪部順一)

父の代から魔王に仕える暗黒司祭。今は主人公の補佐をしている。

「好き!」「俺も!」の2人目。

彼の場合いつどこを好きになったかは最後まで補完されませんが、幼いころからの知り合いということで違和感は少ないです。
共通や他ルートでは皮肉っぽい有能宰相って感じの人なのですが、自ルートでは恋人になった途端甘々になってずっといちゃいちゃしてました。こういう普段抜け目なさそうな人が恋に溺れて丸くなっているところを見ると、萌える以前に不安になる……何かのフラグにしか見えないよ!

主人公が暗殺されるという神託が下ったため、サミュエルが護衛するというシナリオなのですが、このゲームの真相からは遠いためか起伏はあまりないです。
暗黒司祭には身分らしい身分が存在しないため、女王と結婚するには問題ありという身分の差も「とりあえず今は誰とも結婚しない」というなあなあ先送りで終わってしまって、本当にずっといちゃいちゃしてた記憶しかないです。
言い換えると甘い台詞も多いので、声優さんのファンの方ならば嬉しいルートかもしれない。
私はどちらかというと他ルートの『正しいことしか言ってないしかなり主人公贔屓なのに、言い方がまずいのでいまいち主人公には伝わっていない』彼の方がそこはかとなく不憫で好みでした。

主人公も容赦なくて、魔族側に反主人公派がいるのでは?という疑惑がもちあがると、「いつも諫めてくるサミュエルかしら?」って即名前を挙げるので可哀そうだけど笑いを抑えられなかった。あまりの即断ぷりにメイドのドリスさんも「そ、そんなことはないと思いますよ」とフォローしてました。
口うるさいお母さんみたいな感じで、主人公が魔女王でいられるようにあえて耳の痛いことも進言してるんだよ……! わかってあげてほしい。

 

 

エドガー (CV立木文彦)

勇者パーティの戦士。もう一人のかつての主人公の友人。彼には記憶がある。

実は魔女王に求めていたものが見られて、割と嫌いではなかったルートでした。ただ残念ながら、それと萌えたかは別。
元々主人公に好意的なエドガーは親しくなるのも早いのですが、その後2人は自分たちの置かれた立場に悩むことになります。
「あなたは勇者(の一味)、私は魔王」みたいな感じで、これこれ!これが見たかったのです!!
元々勇者パーティは王様公認のアトラスが重要で、あとはあくまでアトラスのおまけみたいな扱いっぽいですね。というよりエドガー自身はそう考えてるのが節々から見て取れます。
彼にとって今の立場は、友達のアトラスが頑張ってるし魔物の被害に困ってる人は放っておけないから協力するか~という感じなんですね。手は抜かないけど自分がいなくなっても代わりはいる、と主人公に比べると気楽なスタンス。
だから対外的には敵同士のままどうにもいかなくなった時、何もかもを捨てて逃げようとする選択はすごくエドガーらしいな、と納得しました。優しいけど繊細なキャラではないので、相手のことを考えているようで自分の価値観を押し付け気味なところも、すごく「らしい」。無責任では?と言われると否定はできない(笑)
ここで主人公が絶対に彼の手を取らず、魔女王であることを投げ出さないところはすごく良かったです。

恐らく色々なところで触れられてそうなボイスに関してですが、多分乙女ゲームにはこれくらいしか出てなさそうな声優さんなのですが、あまりこだわりのない自分にも多少違和感はありました……。ご本人の演技うんぬんより配役ミスぽく思えました。もっと渋いいぶし銀の傭兵さんとかだったらばっちり合ってたかもしれない。

 

 

マリオン (CV三木眞一郎)

主人公が幼いころから仕えている暗黒騎士。主人公至上主義で、彼女の敵も逆に気に入られている者も切って捨てたい系男子。

彼のためにこのゲームを買ったと言っても過言ではない。
最後から一つ前がいいよ、という意見を複数見かけたのですが、この辺で我慢できずに特攻しました。
期待してたルート中大暴れって風ではありませんでしたが、ひた隠しているけどじわじわ漏れ出てるタイプのヤンデレでこれはこれで好みでした。
マリオンは、幼い頃の主人公の我儘により闘技場から引き抜かれて彼女の騎士になったため、彼女が絶対。ということでこの2人は恋愛うんぬんよりまず主従関係が前提となってます。
彼女に与えられた騎士という立場が唯一絶対の居場所だと感じているので、それを取り上げられないよう、ルート前半は主人公に想いを寄せていても必死に騎士に徹しようとします。
主人公は全然気づいていなかったけど、プレイしているこっちはいつ爆発するかわからない導火線をじりじり見守っている気分で楽しかったですね。多分楽しみ方を間違っている。

アトラスルートで主人公が「人間は自分たちより先に死んでしまうし、魔族であるマリオンの助けがいらなくなることはない」みたいなことを何気なく彼に言うシーンがあるのですが、あとから考えるとなんて華麗なバッドED回避なんだ。主人公に特に深い意図も自覚もないところが見事です。
蓋を開けてみるとどこまでも「主人公>>>>>>>>>>自分」の人で命令は(不満そうにしながらも)絶対に聞くし、彼女自身を害することはありませんでした。

まあバレなきゃいいやって裏で動いていたのですけども。
つまりアトラスの記憶喪失の原因はこの人です。主人公が城を抜け出してアトラスと親しくしていたと知り、彼とその家族を秘密裏に拷問にかけていました。アトラスはその時に一度精神的に壊れてしまって、今のような彼に。ただバッドEDの邪悪な顔はいきなりすぎて吹き出しました。

あまり声優さんに詳しくない自分ですが魅力的だと感じるお声の人は何人かいて、今回のマリオンはザ・私の理想の三木眞ボイスという感じですごく良い。主人公に「陛下」と呼びかける声がなんともじっとりとしていて好みでした。トーンは静かなんですけど、隠し切れない執着が滲み出まくってる気がする。

 

 

レオンハルト (CV緑川光)

人間の国の王子。ゲーム冒頭で生贄として贈られてくる。

儚げな雰囲気の王子様ですが、ちょっと感性が人とずれていてぽやぽやしてます。自分を殺す(はず)の主人公に何故か好意的で、積極的に生贄になろうとします。
いや絶対裏があるでしょこれ……と疑っていましたが、結局最後まで第一印象とそう変わらない性格のキャラでした。

どのルートであってもこの2人は仲良くなります。
本来加害者と被害者という関係なのにお互い立場上役割を投げ出せない者同士ということで、奇妙な友情が芽生えているのが興味深かったです。
レオンハルトルートでは他でぼかされていた彼の過去がはっきりと明かされます。身分の低い母親から生まれた妾腹の王子ということで自国ではかなり不遇の立場にあったらしく、自己評価が低くて自己犠牲精神が強いのはこのため。
自分も死ぬかもしれないのに主人公の心配ばかりしているので、彼女も思わず「他人を気にしてる場合じゃないでしょ!」と怒りつつ放っておけなくなってしまいます。途中までは何をしても暖簾に腕押し、「国のみんなが望んでいることだし、貴女が魔王になれる手助けができるなら僕を役立てて欲しいな」という感じなので、かなりもどかしい気分を味わいました。
違うでしょ!君自身の幸せはどこにあるんだよ!と肩を掴んで揺さぶりたくなる。

この後主人公が何度も説得した甲斐あって彼も自分の幸せを望むようになりますが、正直ちょっと後半の展開はあまり好みではなかったかなあ。
一番大きかったのはレオンハルトのやきもち焼きアピール。公務にも支障が出そうなのがねえ……。
主人公主宰の夜会で招待客とダンスをするのもアウトで、しかもそれをパーティ中に邪魔しに来るのはちょっと。王族ならそれくらいは軽く躱して欲しかった。

またいくつかのルートでは、レオンハルトは国に帰って対魔族用の外務大臣になります。それは落としどころとしてベストだと思うのですが、ゆくゆくは国王に……みたいなニュアンスもあってそっちは違和感が。彼のこれまでの境遇を考えるに、父王から謝罪があったとはいえそう簡単にいくものでしょうか? 魔族側で裏工作するってことなんだろうか。
どちらも王様が善良だとちょっと不安な気もする。
奇妙な友人関係だったころが一番しっくりきたレオンハルトでした。

 

 

メルヴィン (CV柿原徹也)

勇者パーティの占い師兼商人。飄々としてつかみどころがないが実は……。

今作の真相枠です。最初ナディス様*1なのかなーと思ってたらドラゴンでした。しかも竜族の王様。
エドガールートなどでもチラチラ正体は見せていましたが、自ルートではさらに踏み込んで彼の抱えていた事情なんかもわかります。
主人公の父親である前魔王とエルヴィンは知り合いで彼と結託して主人公を罠に嵌めようとしてたけど、結局主人公の方を気に入っちゃって裏切るという流れでした。

ドラゴンパワーで何もかも一番問題なく解決するルートです。

権力財力戦闘力なんでもいいけど、乙女ゲー攻略対象には力こそが大事と改めて教えられたよね……。
ただ彼に関しては本当になぜ主人公に惚れたかが全く分からなかったので乗り気になれず、シナリオの面白さ=真相で終わってしまったのは大変残念でした。「キミって面白い子だね」で惚れるというテンプレートを抜け出せてないように思えました。

あとマリオンが「フッお前なら陛下を安心して預られるぜ」みたいに譲るシーンがあるのですが、超個人的にはマジでいらなかったです。あんなに執念深いのにそんなにあっさり譲らないでしょ……譲るにしてもなんかこう色々あったはずでしょ……。
あんなに雑に「マリオンにも認められたから安心して幸せになっていいよー」と免罪符みたいなイベント入れないでほしかった。マリオン推しの愚痴です。

ちなみに前魔王とその妻 (主人公母)2人の詳しい話なんかもここで回収されます。
なんだろう、ああそういうことだったのかが4割、ふーんが3割、「許さない」の真相が「幸せにならないと許さない」は無理があるのではが3割でした。ガチ恨み節のトーンだったじゃん!
同メーカーの他作品の親子イベントに比べるとどうしても薄味でした。それくらいなら一部の攻略対象の心情変化に割いてほしかったゴニョゴニョ

 

 

主人公

私がプレイした中ではロゼゲーの中では1、2を争う素直な優等生主人公でした。
博愛主義というか人道的というか、な子なので第一は魔族だけども人間もむやみに虐げたりしたくない。特にかつての友人たちとはたとえ斬りかかられてもまた仲良くしたいと思っています。
それ自体はいかにも箱入りのお嬢様育ちらしくて、設定に即しているという意味ではいいと思います。使用人たちはかなり彼女に甘いし可愛がられてきたんでしょうね。

ただ本来好ましいはずのその性質がすぎて、まさかよろしくない評価に繋がるとはなんとも皮肉です……。
真の魔王になれるのは作中では主人公だけっぽいのに、あまりそういう緊張感はないんですよね。関係性改善のためなら身の危険もいとわない主人公ですが、自分の身を害されることが間接的に魔族全体の不利益に繋がるとは思っていない。人間に肩入れしすぎと思われても仕方がないような。
ここまで人間にも慈愛を持つということは(母親出てこないし)人間とのハーフかななんかか?と思っていましたが全然違いましたね。王妃様は別の意味で衝撃の設定でしたけども。

多分複数のライターさんが関わっていると思うのですが、正直言うとライター間で彼女の設定にズレがあるのも原因のような気がしました。
目の前でレオンハルトを奪還され生贄の儀式が失敗してしまったとき、そのことで貴族に影口叩かれて内心で「私は何も悪くないのに!*2」と憤慨したと思いきや、次のシーンでは粛々と「失態は重く受け止めているわ」と反省したりする。

後者の主人公を貫いていれば大分心証も変わったと思うのになーと思いました。もったいなかったですね。

 

 

そこそこ長くなってしまった。お付き合いありがとうございました。

さて総評はどうしよう??

 

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*1:魔族が信仰する暗黒神

*2:そうか??