トランクルームとスレイベル

ゲームの感想 乙女ゲ多め

時計仕掛けのレイライン‐陽炎に彷徨う魔女‐ 感想

先にこっちが書きあがったので……(;'∀')

 

面白かったです。
もとはPC(男性向けR-18)で発売されたシリーズで当初PC版を購入予定だったのですが、3部作まとめてVita移植する予定と聞きそちらを待って買いました。終わってみるとしみじみ3部作セットを買っといて良かったなと思いました。
プレイしたのは去年なのですが書きたいことがありすぎて、今まで感想を寝かせていました。物は言いよう。
ネタバレしていたり全体的に未プレイの方に不親切な感想となっておりますので、ご注意ください。

 

 

時計仕掛けのレイライン -陽炎に彷徨う魔女- PS Vita

時計仕掛けのレイライン -陽炎に彷徨う魔女- PS Vita

 

 

ストーリー

山奥にそびえたつ大きな時計塔のある全寮制学園に新入生としてやってきた主人公。
しかし、初登校の日にいきなりトラブルに巻き込まれ、学園の入り口にある高価そうな像を壊してしまう。
学園長から、弁償の代わりにしばらく働けと指示された主人公は、
トラブルの原因となった一人の男子生徒と共に『特殊事案調査分室』に配属されることに。
大きな地下図書館の奥にある分室の部屋に行ってみると、そこには無関心な様子で一人の少女が待っていた。
わけもわからないまま、二人は少女から告げられる。
この学園では、本物の魔術が生きているのだ―――と。
時計塔の鐘の音と共に、学園には『夜の世界』が現れ、校舎と一体化するのであると。
分室の仕事は、学園で起こるあらゆる魔術的な問題を解決すること。
こうして主人公たちは、様々な『遺品(ミスト)』に翻弄されながらも学園のために奔走することになるのだが――。
公式サイトより

 

 

感想

CGすべて回収して総プレイ35時間でした。

男性向けのR-18と言えば心を抉る真相や後味を引きすぎるバッドエンドがあるというイメージだったのですが(※大変な偏見)、友情あり恋愛あり、推理やバトル(?)もあり、伏線回収は気持よくな王道エンタメ作品でした。
ハッピーエンドだし人に勧めやすい作風ですね。
王道よりとがった作品の方が刺さりやすい人間なので自分でも若干意外だったのですが、去年やった乙女ゲーム以外のADVの中で1,2を争うくらい好きでした。

とにかく2作目中盤からの勢いがやばかった。

上にあらすじを載せてますが、主人公が入学した学園は夜間は異世界と繋がる&遺品というマジックアイテムを管理しているという裏の顔があり、一般生徒にバレないようにトラブル処理係として「特殊事案調査分室」という組織 (※生徒会とか風紀委員とかと同じような感じ) が存在します。
主人公はとある事情で強制的にここに所属することになるのですが、活動をしているうちに学園の秘密や自分の過去について知ることになる……という感じですね。

このシリーズでは各所で推理パートが入り、その正答率でED後にランクづけ評価されます。ランクによってはご褒美CGがもらえます。
推理というより遺品クイズという感じでしたし(推理は憂緒さんがやってしまう)、「そんなのどうとでも言えない?」みたいな強引さを感じる部分はありましたが、それでも楽しかったです。
遺品クイズもそれに関する知識が後々伏線になってくるので重要ですしね。

ほか留意点として、このゲームのメインヒロインは鹿々谷憂緒さん固定です。
各作品に攻略できるサブヒロインはいるものの、シリーズを通してメインストーリーに関わるのは彼女です。
面白いのが途中下車みたいな分岐の形をすること。
共通ルート3話までに条件を満たしていればヒロインAの個別ルートへ、満たしていなければ共通4話へ。共通4話で条件を満たせばヒロインBの個別へ、満たしていなければ共通5話=メインヒロインのEDへ……といった感じです。
乙女ゲームではあまり見ない形式でしたが、違和感はなかったです。
予想していたよりもサブヒロインにもきちんとシナリオが用意されていて、好きになれたキャラが複数いたのは良かったです。ただ予想より良かったというだけなので誰かお目当てがいて購入したとしたらちょっとがっかりするかもしれません。
あくまで正ヒロインは憂緒さん。

あとは個人的なお気に入りとして、BGMがどれも好きでした。
主題歌のアレンジBGMがここぞというところで流れる演出は大変アツい。
おまけで一部BGMが聞けるのと作曲者のコメントが見れるのはありがたかったです。絶対サントラ買います。


以下は作品ごとにざっくり感想など。

 

 

黄昏時の境界線

主人公である久我満琉くんが学園に入学し、特殊事案調査分室(以下特査)のメンバーになって馴染むまで。
特査として活動するシーンがメインで、まだ序章の日常パートという感じ。ストーリーの流れも緩やかな印象でした。
学園を徘徊する謎のフードの人物がいるのですが、シリーズラストまで引っ張る重要なキャラかと思いきやここで正体があっさりわかるのは予想外でした。またラストにはプレイヤーにも明かされていなかった、主人公である久我くんの秘密が暴露されます。
ただ、切りよく終わっているためか次作への引きは弱いです。
「久我くんの妹について」「消えてしまった憂緒さんの親友について」はまだ詳しい描写がなくて関心を惹かれず、学園の謎「なぜ夜は別世界と接続するのか」についてはある程度答えが提示されてしまうので。
もし私がPC版を個別に買っていたら、「フーンこんな感じか~でも続きはいいかな」とここで買うのをやめていたかもしれません。それを考えると一体版を買っておいて本当に良かったと思います。

 

黄昏で攻略できるサブヒロインは風呂屋町眠子ちゃん(CV萌花ちょこ)と壬生鍔姫(CVかわしまりの)ちゃん。
眠子ちゃんは一生懸命久我くんを慕ってくれる部分は素直に可愛いと思うんですが、はい。恋愛脳が過ぎるところがあって、そこが少し苦手でした。
特に個別ルートでは彼女視点が結構入ってくるので、世界が桃色に見える(笑)
帰れるかもわからない異世界に飛ばされてるのに「久我くんと二人っきり!」とはしゃいでたり、それどころじゃないでしょ!と突っ込みたくなるシーンが多かったです。
久我くんがしんどい時に膝枕して心情的にも寄り添おうとしてくれるのはすごく良かったし、なんかこっちも慰められたんですけどね。

対して鍔姫ちゃんはシリーズ中でもお気に入りのヒロインでした。
真面目・有能・努力家でみんなに頼られる風紀委員だけど、実はかわいいもの好きでちょっと天然。
ぬいぐるみスミちゃんとのエピソードはしんみりしてしまいました。遺品なので封印して終了……と思ったら実際には人が乗り移っていたってことでハッピーエンドで安心しました。ただこの後のシリーズでは鍔姫ちゃんはずっと春霞ちゃんとのセットになっちゃうのが少し残念でした。百合枠?
いつも張りつめてる彼女をいい感じにいい加減な久我くんが緩めてあげるのはいいバランスだと思っていたので余計に。もっと久我くんと絡んでも良かったと思うのですが。

それはそれとして実は鍔姫ちゃんと静春ちゃんの組み合わせも好きで、彼と引っ付いてもいいなあと思っていたのは内緒。だって静春→鍔姫と誤解させるような描写があったから……。まあ静春ちゃんも今回の件で若干個人的な株が下がっちゃったんですけど。

 

 

残影の夜が明ける時

前述の理由で少しプレイに時間があきました。新キャラ登場&学園の謎に切り込む二作目。
前回の憂緒さんルートからの続きですね。
捜査しないといけない謎とかまだある??とか余裕ぶっこいていたらここの中盤からの盛り上がりが尋常ではなくて、一気にプレイしました。本当に一体版買っててよかった。
第二弾の今作では海外から有名な魔術家の当主アーデルハイト(愛称ハイジ)とその執事のルイが留学 (実際には学園の調査目的) してきます。当初は彼らから夜の世界を隠そうとする特査。しかし途中で和解し、彼らの提言により改めて学園の謎に向き合うことになります。
1作目では魔術のスペシャリストがいなくて、学園長から与えられた知識を鵜呑みにするしかなかったんですよね。
「なぜ夜の世界が存在するのか」という疑問について、夜に別世界と繋げることで世界と世界の間の空間を作り出しそこで強力なマジックアイテムが悪用されないよう管理している、というのが1作目で与えられた答え。今作はそこから踏み込んでそもそも夜の世界とは?夜の住人とは?の謎に迫ります。

合間にホムンクルスに関する遺品を挟み、学園長の正体やら久我くんへの新たな疑惑が生じたりなんかもして。
学園で行方不明になった憂緒さんの親友、睦月ちゃんが登場した時に一気に線がつながる気持よさといったら。アドレナリンどばどば出てたと思います。
消えてしまった彼を救うことができるのか!?という引きも、私は彼が好きだったため、かなり惹きつけられました。

今回EDのあるサブキャラは新登場のハイジ(CV白月かなめ)と学園長(CV小倉結衣)。
ハイジはわかりやすいツンデレお嬢様かな、と思ってたら想像の10倍くらいちょろかったです(笑)
特査と敵対している時は態度がかなりきついのですが、個別ではかなり可愛らしくなっていました。というか私は (暴力的すぎなければ) ツンデレは大体好き。
でもごめん、彼女もルイとの組み合わせが好きでした(ボソリ 脇CPに萌えるとかあまりないんだけどな……不思議。
気位が高いお嬢様と口悪く彼女をやりこめる、けどサポートもちゃんとする執事。親戚かつ幼馴染でもあるし、実は当主はルイの方って言うのもおいしいよね。でもおまけCGで正装したルイにハイジは「綺麗よ!」とか言ってたし、完全にそういう対象外っぽいですね。
学園長ルートも思ったより良かったのですが、良かった分心中複雑でした(笑)
まずノーマルルート(?)を見てから彼女のEDを回収したので、ホムンクルスは……とか考えるとドツボにハマりますね。もも先輩が本編でめっちゃ怖かったので、その印象が拭えないし。
このルートに入ってしまうといつのまにか久我くんと学園長がいい雰囲気になってしまって真相はよくわからないままなので、どうせEDを作るなら全部把握済みの次作に入れた方が良かったのではないかなあとぼんやり思いました。
愛情は芽生えることもある、と思いたいなあ。

 

 

朝霧に散る花

完結編です。20年前の真実と主人公の過去が明かされます。綺麗にまとまっていたと思います。
まるくんの存在によって黒幕側の目的にも共感できる作りになっているため、最後は敵という形ではなく協力して問題を解決できるのは、王道&ベタだけど良かったです。
推理ではなく説明口調多めで進むのは気になりましたが、こういう事情のためハッピーエンドで大体許してしまいました。まさしく大団円。
ただ災厄の魔女の生まれ変わり=久我くんというのはなるほど、と思いましたがご両親のことを考えるとかなり複雑ですね。
こういう形にしないとよりひどいことになったというのはそりゃそうなんだろうけど。さりとて「じゃあこれで良かったんだ」と言えるほど被害は小さくないんですよね……。というのがこの時の感想。

ちなみに今回はサブキャラエンドはなし。その代わり(?)評価別のご褒美CGの数が多いです。
今回から参入した睦月さん (CV倉田まりや) ですがコミュ力が異様に高いのか、さらりと馴染んでいて驚きました。違和感ない。憂緒さんが懐くのもよくわかるムードメーカーでした。本筋に絡んで活躍するというよりまるくんに代わるメンバーの潤滑剤といったところでしょうか。
あと久我くんの妹の満琉ちゃん (CVshizuku)も参入 。※こっちが本物。
ブラコンですが彼女は久我くんとではなく、静春ちゃんとフラグが建ってるっぽいですね。強すぎる力を背負った魔女と思われていましたが、実は魔女は兄の方で、彼女は暴走を抑えるために魔力を流し込まれていたことが判明します。
その関係でしょっちゅう体調を崩してたりするので、ちょっとかわいそう。
黒幕のセディに関しては全然気づかなかったですね。
正体がわかると、今までのあれも伏線かーと気づける部分が多くてなるほどなあと感心しきりでした。
色々判明したけど久我くんにはどういう感情を抱くんだろう? 地味に気になります。

 

 

陽炎に彷徨う魔女

異世界の魔女シグマがやってきて、遺品がらみの依頼をしてくるお話。
1作終えるごとに幕間のようにショートエピソードが挿入される形なので、唐突感があって最初は「なんだ???」と思っていました。
Vita版の追加要素だったんですね~。納得。
本編が良かっただけにどうなんだろうなと思っていたら、レイラインアナザーとでも言うべきシリアスな展開になっていって面白かったです。
シグマの正体はバッドエンドをむかえた平行世界の久我くん。その世界では火事で久我くんの身体は燃えてしまったため、満琉ちゃんの遺体に魂だけ移された状態です。彼は本編の久我くんを羨み、彼と入れ替わろうとします。
しかもシグマと久我くんの命運を分けた原因が、力を満琉ちゃんに流さなかったかどうかということでもうね……。この兄妹に何の問題もない幸せな世界というのはありえないのか。
こういう経歴があり元の世界の憂緒さんたちと関わらずにきたシグマは、その分満琉ちゃんに強く強く執着しています。こっちの世界とはいえ満琉ちゃんと再会し言葉を交わせたのは救いなのでしょうが……。
憂緒さんの愛の力が突破口になるのは大変良かったですが、色々と考えさせられるお話でした。


以下は特査メンバーへの個人的な感想とか。

 

久我三義 
本編主人公。実は序盤ちょっと苦手でした。
初対面の相手に「モー子」とか「おまる」とか失礼なあだ名をつけるし、一部の相手には妙に喧嘩腰だし。君年上なんだからもう少し落ち着きなさいよ。
プレイしていると根は熱くていい人属性なのがわかるだけに、この辺は本当に謎。彼なりのコミュニケーションの取り方なのか。
段々個人的評価が上がっていったのは幸いでした。主人公が苦手なADVはやるのが辛いからね(;´・ω・)
頼られたら何とかしようと頑張ってくれる誠実さもあるので、ヒロインたちが惹かれるのはわかる気がします。
特査では肉体労働担当という感じでした。頭の回転は早そうですが、もっと頼りになるメインブレインがいるので仕方ない。

 

鹿ヶ谷憂緒 (CV森谷美園)
メインヒロイン。特査のクールな頭脳役。
彼女と結ばれるのが正史っぽいので、彼女が合うか合わないかで作品全体の評価も変わりそうです。
彼女も最初はかなりツンツンしてるんですけど、久我くんの初手が悪かった気がする&攻略対象のこういう態度は前振りのようで許せるのでそこまで気になりませんでした。途中から久我くん大好きなのが透けて見えるしねえ。
デレるとすごく可愛いし、彼女の能力がないとハッピーエンドは無理だったと思える無双っぷりでした。
三部作の構成上、完全に手を出されてるのに正式に恋人になるのは後回しにされて、宙ぶらりん状態が長いのはちょっとかわいそうでした。

  

烏丸小太郎 (CV門倉宗一)
本編の癒し。
普段は個人的に特に注視することのないいわゆるいい人キャラなんですが、メイン二人がずっとツンツンしているので彼の存在が清涼剤でした。あの二人はもう少し協調性というものをだね。
だからこそ彼が消えてしまう残影ではひっくり返ったし、救ってくれ!と朝霧をやるモチベーションにも繋がりました。
ハッピーエンドだったし再会できて本当に良かった。
女体化した時、あっそういう枠??と思ったのは秘密。

 

村雲静春 (CV古河徹人)
久我くんの軽口の被害者で私はかなり同情していたのですが、黄昏の真相で若干(私の)好感度がダウンしました。
お姉さんを助けるため必死だったというのはわかりますが、誤解*1で巻き込んでしまったと判明したならきちんと謝罪してくださいよ。
彼も申し訳ないとは思っていたのか、口では噛みつきつつも特査入りして雑用をこなしてくれるようにはなりますが。
その後まさか満琉ちゃんとフラグを建てるとは。お兄ちゃんガードが手強そうですが頑張ってほしいです。

 

リト (CV鶴屋春人)
1作目からずっと特査をフォローしてくれたホムンクルス
AnotherStoryのifルートでヒロイン昇格です。多分すごく人気のあるキャラじゃないかと予想します。
ホムンクルスあれこれに関しては考えると複雑なんですけど、まったく何もかも生まれないわけではない、と解釈しました。
可愛いからいいんや。

 

 

 

長くなりました(;´∀`)

お付き合いありがとうございました。

 

 

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*1:実際誤解ではなかったわけだけども