トランクルームとスレイベル

ゲームの感想 乙女ゲ多め

薔薇に隠されしヴェリテ キャラクター感想②+フルコンプ感想

個人的糖度低い三連星が後半に固まってしまいました。

薔薇に隠されしヴェリテ、ロベルピエール・ルイ・隠しキャラのルートとフルコンプ感想です。

ネタバレしまくりなうえに、別ゲームとの比較あり、さらにかなり辛口になっていますのでご注意ください。

 

 

 

 

ロベスピエール (CV須嵜成幸)

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革命のために動く野心家。

彼は一貫してアンシャン・レジームの変革を目指しており、平民の暮らしが良くなればよいダントン、平民と貴族の共存を目指すルイとは違って明確に王制の廃止を視野に入れて動いています。共通ルートの段階で躊躇いなく動く(ネッケルさんのとこ)ので初回ちょっとびっくりしました。
こんな風に彼は自分の目標がはっきりしていて、そのための犠牲についても覚悟を決めています。一応個別ルートをやると彼なりに苦しんでいることは分かるのですが、それを他者にこぼしたり弱音を吐いたりすることはほぼありません。死にかけて意識が朦朧としていないと生への未練も吐けないくらいですからね…。
ツンデレかな?と期待してラスト付近に回しましたが、上記の性格なのでなかなかデレない…。というかデレたかと思ったら次のイベントではあたりが強かったりして*1デレを待つこちらとしては振り回されっぱなしでした。ほぼラストまでこんな感じなので、EDムービー入ったときは逃げ切られた…!と思いました。
自分のやっていることを知られると主人公に嫌われてしまう、それは怖い、と吐露する(彼の口から内心が語られる貴重な)シーンは好きでしたので、そういうのをもっと見たかったですね。
設定倒れのすぐデレるツンデレよりは難攻不落の方が断然好みですが、それにしても微糖で残念でした。性格的に4年前は比較的隙が多くて可愛いかったのでこの路線で行くのかと予想してたら見事に心の壁が厚くなってた*2。こういう孤高のキャラの方がいい!という方もいるでしょうから、この辺は好みですね。

あとダントンルートよりもは、主人公が内助の功的に役に立てていたところは良かったです。「仕事のことは分からないけど第一線で働く旦那様を支える妻」っぽかった。
意外だったのはサン・ジュスト。他ルートで「絶対にロベスピエールルートのバッドエンドフラグはこいつ」と確信していたので、彼が不名誉を被ってでも主人公とロベスピエールの対話の場を設けた時は驚きました。彼のロベルピエールへの献身は本物だったのだな、という意味で。手段がかなり強引なのが彼らしいというかなんというか。濡れ衣着せてごめん。

 

 

 

ルイ16世 (CV白井悠介)

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何にも興味を抱けないフランス国王。
メインぽいのでラスト付近に回しましたが…身分的に一番難しいのか、何にも興味を持てないルイの性格のためか、かなり恋愛としては控えめなルートでした。そもそも一緒に過ごそうとするだけでクリアしないといけない障害が多い。

なんとなく気になる相手とお互いに感じていて、時折過ごすなんでもない時間が本人たちには宝物だった、ということでいいのかな。好意を自覚しても想いを口に出せない立場・状況なのでわかりやすい恋愛イベントはないです。忍ぶ恋。
※プレイ中の私の脳みそが死んでいただけの可能性も高いです。一気にプレイしたのでこの頃にはローアン枢機卿のセリフをそらで暗唱できるようになっていました。
イベントで垣間見える限り周囲にないがしろにされつづけた結果の無気力症のようなので、共通や他キャラの個別ルートの段階ではこちらも割と同情的だったのですが、自ルートでもその辺特に変化はないため攻略対象としては少し頼りない印象で終わってしまいました。どのような結末でも静かに受け入れるところは高潔と言えなくもないですけど、諦めや責任転嫁と紙一重のように見えてしまったんですよね。
途中で王としての自覚が芽生えて劇的に変わったが時すでに遅し…みたいな√だったら悲劇度増して好みだったかも。ロベスピエールのあとにやったのもまずかったかな。最後まで陛下ふわふわしているから。
ただ複数のルートで「マリー・アントワネットは余の結婚した王妃ではない」といった発言が見受けられるので、自覚はないにしろどのルートでも主人公に操を立てていた模様。
話は変わりますが、ミロワール会の「ほとんど意見のすり合わせもせずそれぞれ入れ替わったときに好き放題スタイル」はやっぱり今考えても悪手だと思います。船頭が多いと船は山に登っちゃうんだぜ。ロゼールがルートでフォロー入れてたけど無理があると思う。
あとこのルートでのヴェルモン神父なのですが、彼は基本「主人公は巻き込まれた被害者であるが、自分の道を見つけたらそのために頑張ってほしい、王妃の侍女になることを決めたなら分をわきまえて誠心誠意仕えてほしい」みたいな意見の人だと思っていたので、「陛下が(男性として)気になる」という主人公に軽率に身代わりの薬の使用を勧めてきたのにはびっくりでした。「あなたは王妃の身代わりであって王妃ではない」と窘めるかと思った。他ルートとのイメージの差異がすごかったためかやたら記憶に焼き付いています。

 

 

 

ロゼール

神出鬼没の錬金術師。
このルートの必要性が最後までわからなかった…。
おそらくモデルになった人物*3はいるのでしょうが、錬金術師・不老不死という他と一線を引く設定、ガチガチの攻略制限から他とは違うシナリオや大団円的EDを期待していました。
蓋を開けてみるとヴェリテはヴェリテでした。
マリー・アントワネットの結婚からフランス革命まで、流れは他とほぼ同じです。合間にロゼール一味の暗躍とか彼らがどういう集まりでどういう思考で動いていたのかを説明するイベントが入る構成です。
問題は肝心の恋愛イベントがつかみどころがないところ。

副作用のある身代わりの薬を使わないといけなくて、なのに当の王妃には疎まれている。この状況で身の振り方に関してアドバイスをくれたり養女にしてくれたロゼールに主人公が好意を持つのは理解できます。ただそれに対してロゼールの態度は「好意を持つのはそちらの自由」「君には興味があるがそういう意味ではない」「そもそも普通の人間と自分たちは交わらない」「というかもう恋愛自体に興味がない」という感じ。かといって完全にそっけないかというとそうでもなく、表面上は優しくするし主人公に執着しているようなセリフも言うので、なんとも煮え切らない感じで私はずっともやもやしていました。
薬に関しても使うと危険だと警告したかと思えば、使わせるようそそのかしたりもするし、アドバイスを求められると君が決めることだよと突き放したりする。何がしたいのか!?とこちらは大混乱でした。思惑をなんとか読み取ろうと神経を使ってとにかく疲れました。
ED後日談も救いがないというか、これまでプレイしてきてこれ!?的な徒労感がありました。いや、こういうちょっとむなしい感じのオチ嫌いじゃないんですけどね…。このゲームに限っては散々味わってきたので、少しはプレイヤーの努力が報われて欲しかったって感じです。
このルートで光ってたのはエルザかな。主人公の良き友人で、侍女になってからは優秀なサポート役にもなり、おそらくどのEDでも主人公か攻略対象の身代わりに処刑されている。このルートで彼女がどのようにしてロゼールと知りあったかや彼女の献身の理由がわかるのですが、薄々気づいていたけどエルザ本当に優秀じゃん…!頭の回転は速いし気配りは細やかだし、どうして終世の主に主人公を選んだのか本当にわからない。仮の名前(リーゼ)が主人公のデフォルト名と同じなのでそれ関係でイベントあるかなと思ったけど特になかったです。この子にMVPあげたい。

 

 

 

※これ以降別作品との比較が多くなります。

主人公(と王妃)

本当に普通の子。

選択の余地なくマリー・アントワネットの身代わりになってしまったせいか、本人には自覚や覚悟はイマイチないです。一度決めたことも何かあるとすぐに揺らいでしまう。そういう反応はリアルというか普通だとは思うのですが、攻略対象も迷っていたり物語もどうあがいても時流にはかなわないという妙なリアルさを持っているので、主人公くらいはブレない軸が欲しかったです。ゲーム全体に行きつ戻りつ迷走しているイメージが定着してしまいました。
そしてかなりのドジっ子。最初の入れ替わりの時から既に、どう考えても自分から身代わりだとバラしにいっているような言動*4が見られます。『華ヤカ』のはるもかなりドジなんですが、彼女の場合ポジティブさや無礼さが肝心な時にいい結果を引っ張り込んでいます。今回はそういうものもないのでただただ粗忽ものにしか見えません。
ルートによってはフランス革命にほぼ関わらなくなる、自ルート以外での攻略対象の行動に変化もないので、存在意義を見失いそうになったりしました。
あとは身代わりの薬に対する周囲のスタンスもよくわからなかったです。こういう薬関連は悪用されることを警戒するはずなのですが、序盤以降誰も主人公を疑いません。それどころかあくまでハプスブルク家には「王族の危機を(ほんのわずかな間)救うもの」として伝わっていたはずなのに、ルートによっては「(王妃が横暴な振る舞いをやめないし)主人公が侍女の役目の一環として代わりたいならそれもありじゃない?」とまるで主人公側に入れ替わりの主導権があるかのような周囲の発言があり、違和感が。

要は身代わりの薬を使う理由が、

「政治的に主人公に王妃をやってもらった方がまだ平穏」

マリー・アントワネットこそが王妃である事実は揺らがないので、主人公は彼女の精神や生命の危機のためには身代わりもやむなし」

というのではなく、

「薬を使って(マリー・アントワネットの真似ではなく)主人公なりの理想の王妃を目指すのが、君のやりたいことでは?」

と彼女の自己実現のために使われそうになるのは、状況的におかしくないかなということです。そりゃ乙女ゲームとしては主人公主導で当然でしょうけども。

マリー・アントワネットというキャラクターと彼女と主人公の関係性自体は嫌いではなかったです。わがままで考えなしに感情で動く困った子ではあるんですが、皇女時代の可愛げとか裁判後のしおらしさ、処刑前の態度などを見るとどうにも憎めない。結局一度も主人公に「代わりに死になさい」とは言わなかったですし。統治者としての自覚はなくても王族としての矜持はあったのだな、と。
ただ彼女の主人公にあてた遺書、内容がすぽっと記憶から消えております。読むシーンありましたっけ?

 

 

 

 

フルコンプ感想

The史実、という感じのゲームでした。
主人公が何を選択しようと、フランス革命は起きますしメインキャラはほぼ全員処刑されます。流れもほとんど同一。
初回は大変興味深くプレイしましたが、個別ルートに入ると同じ内容でもスキップ不可、マップ画面移行時のロード、達成感がほとんどない作業要素などの仕様によりストレスフルな作品に仕上がっています。
恋愛面も個々のイベント自体は魅力的なものもあるのですが、大前提として主人公の影が薄すぎます。侍女として王妃にどう仕えるのか、という個人的な問題には答えが出せません。迷い流されるまま処刑の時が来てしまいます。なにより作品の設定上避けて通れない革命関連に主人公はほとんど関わりません。傍観者の立場が一番近いです。にも関わらず恋愛イベントだけひょこっとメインになるので、ちぐはぐというかどうして彼女に惚れたのか説得力があまりないというか…。
キャラクターたちの関係性についても、華ヤカの時は家督争いをしつつも結局ご兄弟は仲が良かったのですが、ヴェリテは前半は割と和気藹々・後半は完全に敵対してしまいます。この辺もプレイする気力が減る原因でした。

作業要素が単調で本当にただの作業に近くなってしまったところも拍車を掛けました。
「出来うる限り史実通り」という強固なコンセプトがあるのは結構ですが、もう少し魅せ方があったんじゃないかなというのが正直な感想です。今作はそのコンセプトが製作者側の独りよがり寄りで終わってしまったように感じられました。
他社にもプレイヤー好感度を度外視したようなニッチな作風のゲームは存在しますが、「プレイヤーに好かれようと思わない」のと「プレイヤーのことを考えない」ではかなりの隔たりがあるのだなーと思いました。かなり期待していただけに非常に残念です。

 

 

 

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*1:ダントン√とは違って主人公が王妃の侍女を中々辞めないからかも

*2:デザインは4年後の方がかっこよくて好きです

*3:サン・ジェルマン?

*4:早い段階でにほぼ全員知っているガバガバ具合だったのには笑いました