トランクルームとスレイベル

ゲームの感想 乙女ゲ多め

【ノベルゲーム】送り犬 感想

 

ニンテンドーswitchのホラーノベル「送り犬」クリアしたので感想です。
前半はネタバレなしでシステム等の紹介、後半はネタバレありで一部EDの感想というかたちを取ってます。未プレイの方は注意書きが出たら、ブラウザバック推奨です。
また前半部分でもED数やプレイ時間、作品の雰囲気などには触れていますので、ご注意ください。

問題ない方は続きよりお付き合いお願いします。

 

 

 

送り犬とは

学校であった怖い話」などで有名な飯島多紀哉さんの小説が原作のホラーノベルです。
ゲームとしても複数のプラットフォームで展開されており、PC版やアプリ版、ニンテンドーswitch版が存在します。
switch版はダウンロード専用ソフトなのでパッケージ販売はなし。店頭では売ってないのでご注意ください。

今回私がプレイしたのはswitch版です。

ちなみにタイトルになっている送り犬という妖怪は、この作品のオリジナルというわけではなく各地の伝承に出てくるようです。どこか別作品で見かけた気もする。

 

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送り犬。
子供のころお婆ちゃんがよく話してくれた不思議な話が好きだった。
大きくなるにつれそのほとんどはおぼろげなものになってしまったけれど、送り犬という妖怪の話はなんとなく覚えていたりする。
送り犬とは八ヶ岳に住む妖怪で、山の神様とも言われていたらしい。
昔は山犬も多く、旅人がふと隙を見せると山犬の餌食になることも珍しくはなかったそうだ。
夜の八ヶ岳を歩いていると、後ろからヒタヒタと足音が聞こえてくる。
これが送り犬だ。
振り返ってはならない。
振り返ると、食べられてしまうからだ。
送り犬が現れたら、そのまま振り返らなければ家に着くまで狼や山に住む魔物から守ってくれる。
無事家に着いたら、塩握りや草履をあげると喜んで帰っていく。
頼りがいのあるボディガードなわけだ。
でも、送り犬が現れたら、後ろを振り返る以外にもう一つ注意しなければならないことがある。
それは、転ぶこと。
もし転んだら、送り犬に襲われて、やはり食べられてしまうのだ。
もし転んだら、こう言うといい。
「どっこいしょ。一休みでございます」
公式サイトより

 

システム

文章を読み、選択肢を選んでいくことで展開が変わるオーソドックスなノベルゲーム。
EDは35個。今回は攻略などは見なかったのですが、プレイ時間は5時間弱でした。

 

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台詞ウィンドウではなく全画面にテキストが出るタイプです。ちょっと珍しい縦書き形式。
選択肢1つでがらりと展開が変わるので、10個まで保存してくれるクイックセーブが大活躍でした。
※ゲームを終了すると消えちゃうタイプのQセーブなので、大事なところはきちんと通常セーブしましょう。

オート再生機能が無いのと、既読スキップがボタン押しっぱなしにしなくてはならないのが若干気にかかりましたが、このくらいのボリュームなら問題というほどではありませんでした。

 

感想

ホラーゲームではかなり有名な方で、私も関わったタイトルは知っていたものの、プレイ自体は今回が初でした。
あらすじを読んだ時点ではガッツリ民俗学的ホラーを期待していたので、そういう意味では少し当てが外れましたが、それでも充分楽しめました。

大きな特徴として、選択肢によって雰囲気が大きく変わります。
いかにもホラーなストーリーも当然ありますが、怖いというより不思議な話、恋愛風味、コメディチックなものも用意されていて、「ずっと怖い」という感じではないです。個人的な印象は6:4でホラー:他という内訳に見えました。
送り犬どこいっちゃったのーみたいなシナリオも。多分他作品も含めこういう作風が売りなのかも?
ホラー以外のシナリオのノリには最初こそ戸惑いましたが、じき慣れました(;´∀`)

あとは全体的にテンポよくさくさくと進みます。おかげで怖いシーンもそこまで長くないため、ホラー苦手でも意外と大丈夫かも。
また文章は恐怖心をあおるものでも、視覚的に怖いと感じるものはありませんでした。一枚絵での直接的な表現(グロとか)はほとんどないです。CEROがCなので、それが関係してるのかもしれませんね。

かといってホラーしていないわけではなく、一部のシナリオやオチはゾクッとする感覚を味わえました!後半で詳しく語ろうと思います。

1000円以下のロープライスでこれなら十分満足です。
過去作も気になったので、プレイ可能なものから随時手を出していこうかなと思っています。

 

 

以下はネタバレありの、一部ストーリーやEDの感想メモです。まとまってません。
本当に大したことを書いてませんが、事前情報入れずにプレイした方が楽しいゲームだと思いますので、未プレイの方はここでブラウザバックお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

 

ED:パチプロアイドル伝説

一番最初に見たエンディング。
なるべく核心に遠そうな選択肢から回収するタイプのプレイヤーさんだと、私と同じくこれが初EDって方も多いと思うのですがどうでしょう。
私といえばどういう作風のゲームかもわからない時だったため呆然としてしまい、「あれ~~?ホラー……ホラー???」と一瞬積みかけました。
今思えばここで積まずにフルコンプしてよかった。

 

 

ここ掘れワンワン編

子犬を拾った主人公。飼い主が見つかるまでバイト先で預かってもらうように頼みますが、その子犬には変わった癖があって……というストーリー。
次にプレイしたルートがこちら。最初のパチプロEDは選択肢がないので、ルートらしいルートという意味ではこれが初。

死を引き寄せる子犬に一見穏やかだけど実は物騒なバイト先、とどことなく都市伝説的な匂いのする話でした。
主人公がひどい目に遭ったり、反対にひどい目に遭わせたり、個人的には一番グロ要素も強めなルートだった印象です。
察しが悪いため今でもわからないのですが、結局シロは何者(犬)だったんでしょうか。送り犬ではないですよね??

死を嗅ぎわける(呼び寄せる?)シロがもらわれていくということは、この仙田さんは某EDの殺人鬼タイプということだと思っていますが。
BGMに関しては概ね良かったと思うのですがハッピーEDのBGMだけちょっと違和感が……勝ち確定みたいな箇所で流れる曲がポップすぎて浮いてた気がします。

 

 

会いたい人編

数合わせで出席した合コンで運命の人に出会う主人公。しかし彼には秘密があり……というストーリー。
恐らくこのゲームのメインルートであろう送り犬編から、途中で派生するルートの1つです。
送り犬編との最大の違いは仙田さんが抱える秘密。こちらの彼も相当アレではあるんですが、一応人間です。

恋人の言うことを信じるか友人を信じるかみたいな選択肢が複数用意されており、前者を多めに選ぶと仙田さんは女癖の悪い遊び人ということになり主人公の美穂ちゃんはあっさり捨てられてしまいます。
後者だと仙田さんの正体は恋人を解体したがる殺人鬼。主人公も危うくバラされかけます。フラグを立てられれば間一髪で親友のまどかちゃんが助けに来てくれます。ここのまどかちゃん最高に頼もしくて格好良かった。フラグを立てられなければ……はい(笑)

主人公が序盤のモノローグをなかったかのように速攻恋に落ちるのでびっくりしましたが、別のルートの因縁を考えるとたとえ立場が違っても何かしら惹かれてしまう相手なのかもしれないですね。

 

 

送り犬編

会いたい人編と途中までは同じです。
というよりこのルートがメインなので、ここから派生していくルートが多いという言うべきかな。
会いたい人編との重要な違いは、仙田さんの正体が人間ではありません。あとまどかちゃんが仙田さん側です。

会いたい人編からぶっつづけで、選択肢を片っ端から試すようにプレイしていたので、いつルートが変わったかも気づきませんでした。なので「はいはい仙田さんはサイコパス」と油断しまくってる状態でルートへ。

そこから山田君の手紙が読み上げられ、主人公が見ていた世界が既に歪んでいたとわかったときの衝撃と言ったら。

「あ、だからまどかちゃんはいつも廃墟みたいなところで合コンしてたんだね~」と妙なところにすごく感心していました。監獄風居酒屋とかもあるしな~で流してたよ。

またこのルートでなぜ主人公が送り犬に狙われているのかという理由も多少明かされます。

ここで判明した諸々を踏まえると、一応は穏やかに終わったEDとか単なる日常のシーンもも途端に心もとなくなります。

例えば地元に帰って別の人と結婚するEDは絶対怪しいですよね……。おばあちゃんの紹介で出会ったって言ってるし。

 

 

山本幸男の警備日誌編

主人公の通っている大学の警備員さんが、これまで遭遇した奇妙な出来事の話。送り犬編から派生。
EDがかなり多いので、セーブは小まめに取っておいた方がいいと感じました。私は選択肢総当たりに近い形でED回収しました。
怖いというより不思議な話が多め。

ただし過去作プレイ済みのファンへのサービス要素が強い気がしました。
よくわからない単語が出てきても話の筋が理解できれば構わない人間ですが、知らないと内容が理解できない(と思われる)EDもいくつかあって、ちょっと困りました。

あの謎の文字列とかなんなんだろう(。´・ω・)?

軽くググったけどわかりませんでした。ううむ。学怖とかやればわかるようになるのかなぁ。

 

 

ポメラニアンのシャルル編

謎の視線に怯える主人公。その正体は実は……。
タイトル通り近所で飼われているポメラニアンの視点に切り替わります。
こちらで回収できるEDは数こそ少ないものの、若干見るのが難しいものがあるのでやっぱりセーブ推奨です。

ごめんなさい、ほぼ真顔でプレイしていました。
パチプロの衝撃で始まったとはいえ色々な種類のホラーを楽しんでいたところを、また似たような時空に引き戻された感覚というか。温度差が凄くて。
ヒューマン(?)ドラマをやってるのだったら可愛いと和んだのかもしれないけども。
こちらのルートを先にやっていれば、とあるEDで送り犬編のオチが想像できたかもしれませんね。このEDの演出は好きでした。
ただ個人的にはより衝撃が大きくなる (ハズの) り犬→シャルルの順でプレイした方がいいと思ってます。

 

 

白井まどか編&山崎剛史編

名サブキャラ2人の視点で描かれるシナリオ。ただしどちらも送り犬には直接関係ありません。
山崎くんのも不思議な感じで良かったですが、まどかちゃん編がとにかく好きでした。ホラーとして一番好み。
幼いころのまどかちゃんを襲ったじわーっとした恐怖を堪能させてくれます。
何がいいって結局怪異がどんな姿をしていたのかは一度も描写されないこと。
正体としては彼女の母親だろうと思いますが、目撃者の怯えようからどれほど恐ろしい姿に変貌していたのか想像を掻き立てられます。
普通にパッと出てこられるより、怖さに際限がないです。好き。

 

 

送り犬 真相編

送り犬はなぜ主人公を狙うのか?その辺がより詳しくわかる真相編。
主人公の従兄弟くんが登場し、彼女の家の血筋にまつわる呪いについて語られます。
変わらず文章自体はあっさりなんですけどね。数行であっても解説があったおかげで、色々と想像はしやすくなるかなと。
例えば主人公を送り犬の花嫁にと思っていたらしいおばあちゃん、そして他ルートでは主人公を大事に想っていたように見える両親。
彼らが何を考えていたのかここで補足してくれます。
仙田さんはこのルートが一番まともだったような(笑)

ホラーらしくて好きだったのは両親の顛末。
送り犬に代々娘を差し出すことで富を得ていた財部家(主人公の家)。
しかしそんな悪習は絶たねばならないと、主人公と話した祖母は彼女を解放することにします。
主人公の決意が固いことを知った送り犬の長も、彼女を見逃してくれました。ただし、これまで恩恵を受けてきながら契約を断つ財部家には相応の報いがあるとも。
そして無事主人公 (と従兄弟一家) は平穏な暮らしを手に入れることが出来ました。
後日、主人公はゴミ漁りをしている野良犬を見かけます。それは確かに彼女の父の面影を残していました……というオチ。
我ながら悪趣味の極みですが、すっごいぞくぞくしました。
積極的に娘を送り犬に差し出す人たちだから因果応報ということなんだけども、やっぱりどこか哀れというか虚しくて怖い。意識も完全に犬になっていたっぽいのがよりうすら寒い。

 

 

 

 

ざっくりまとめると好きな演出とかオチはたくさんあったけど、ホラー成分の比重とか文章のあっさり感が個人的な好みからはちょっと外れる……という感じでした。

それでも十分楽しかったです。

他の作品もアーカイブスなどで配信されているものもあるようなので、そっちもいずれプレイしてみたいです。

サクッと遊べるので、これからますます暑くなる夜にホラーで納涼どうですか。

 

 

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