トランクルームとスレイベル

ゲームの感想 乙女ゲ多め

流行り神 番外編感想

今回は流行り神の番外編、風海刑事以外の視点の話の感想です。
番外編は大きなルート分岐はないっぽいですね。
私のプレイ時は本編終了時点で霧崎編と人見編はオープンしており、ゆうか編はこの二つを終了したらプレイできるようになりました。どうやらデータベースの収集率が関係しているらしく、最後の犬童蘭子編はこれまですべてのワードを集めていないとオープンしません。
ネタバレありですので、問題ない方だけ続きからお付き合いお願いします。

 

霧崎編 さとるくん

大学の民俗学の講師であり、風海刑事の兄貴分でもある霧崎先生。
この番外編は霧崎先生が中学生の頃のお話で、当時の彼の視点で話が進みます。霧崎先生がオカルトを肯定するようになったきっかけでもあります。

中学校の友人グループと都市伝説「さとるくん」を試してみた霧崎少年。電話をかけた友人が「何も聞こえなかった」と言ったためやはり噂は出鱈目だったという結論になりますが、その日の夜その友人が何者かに殺されてしまいます。
葬儀後遺体が消え、いっしょにいた他の友人たちの様子がおかしいことも気にかかる霧崎少年でしたが、父親からさとるくんには関わるなとくぎを刺されてしまい……。

さとるくんというのは、公衆電話でとある番号に電話して質問すると未来のことを教えてくれるという都市伝説です。別ゲーですが死印にも「くちゃら花嫁」という同じような怪異が出てきますね。実際各地に似たような逸話がある割とメジャーな都市伝説らしくて、さとるくんのバージョンもかなり豊富らしいです。だんだん家に近づいてくるメリーさんと合体したタイプのさとるくんもいるとか。

私の勘が鈍いのか「結局どういうことだったの?」というのが今作中一番わかりにくかったですね。
ルートの分岐がないということあるし、たぶん霧崎くんが中学生だからということも大きいと思います。捜査・解説できる立場にないので、どうしても断片的な情報しか得られずその中で推測する必要があります。

「自宅の電話番号をさとるくんの電話番号ということにされ、悪戯電話の標的になってしまった女性教師がノイローゼになり、かけてきた相手(自分の担当している生徒だったから特定できた)を殺してしまった」という部分まではまだ理解できたのですが、霧崎父の言っていた「さとるくんは罠で、電話をかけてきた子供たちの真名(忌み名)を収集していた」という情報がどこにかかるかがわかりません。
普通に考えると女性教師にそういったオカルト的知識があり、忌み名を使って悪戯に報復するつもりだった (あるいは何か目的があった?) ということなのでしょうが、特段そのへんを匂わす描写がなかったんですよね。既読率は一応90%以上いったんですけどどこか見逃したところが重要だったのかもしれません。地味にもう一人の教師との関係も気になります。不倫確定でいいのかな?

ラストでグループの一人、霧崎少年の幼馴染の少女が何者かに乗っ取られたかのような描写があって、私はてっきり死んだ友人だと思い込んでいたんですが、犯人である女性教師ではという感想を見つけて目から鱗でした。確かにそちらの方が自然かも。
この地域では忌み名を奪われると操られてしまうという古い言い伝えが今も残っていて、実際亡くなった子の遺体が一度消えたのも、その子の忌み名で操ったからだそうです。なら忌み名を使えば身体を乗っ取ることも出来るのかもしれませんね。

真相に関しては消化不良でしたが、途中までの雰囲気はすごく怖くて良かったですよ。

グループの一人のオカルトマニアが犯人にしか思えない言動を取ったり (しかもそんな彼と森で二人っきり!) 、例の幼馴染はずっとぼーっとしていたかと思えば何故かさらにさとるくんに関わろうとしたり。もう憑かれてるんじゃ?と思ってましたが今考えるとこの時すでに操られていたのかも?

霧崎少年も「命に関わる」と父親に注意されているのにさとるくんに電話したり、怪しい廃墟に乗り込んだりかなりアグレッシブでした。この先どうなるんだろう?とハラハラするシーンが多かったですね。

あとこの霧崎編でシリーズ全体に関わる重要な情報が提示されました。
霧崎先生の父親は警察史編纂室所属だったんですね……! 数年後に風海刑事が、彼の煙草と同じ銘柄の吸殻を編纂室で見つけていますし、若かりし頃の犬童刑事らしき女性と同行していましたしほぼ確定だと思います。
そんな霧崎父、この事件の2年後に奥さんともども亡くなってしまうらしいですが、ここではそれは語られず。続きにご期待ください!ということでしょうね。続きがあるならこのさとるくん事件についても補足がないか期待してます。

※あとで検索したらDS版にはおまけで補足があるっぽいですね……そのためだけにDS版を買うのは……うーん。

 

 

人見編 カシマレイコ

人見先生は監察医をしていて霧崎先生の古い友人でもあります。その縁で風海刑事とも顔見知り。
クールな才媛でオカルト否定派ですが、頭ごなしに拒絶せずにまずは自分で可能性を検討する柔軟さもあります。

今回は数年前、彼女が巻き込まれた奇妙な事件のお話です。
人見先生が当時勤めていた病院に人気モデルが大怪我をして運ばれてくるのですが、それ以降先生の周囲で不思議な現象が起こるようになります。そしてことあるごとに耳に入る「カシマレイコ」の名前。同時期に勤務先の病院では承認されていない新薬を患者に与えて実験している、という噂も耳にします。馬鹿馬鹿しいと相手にしない人見先生でしたが……。

カシマレイコもかなり有名な都市伝説のようです。夢などで「その手、いる?」など問いかけをしてくる怪異で、「今使ってます」など正しい答えを言わないと体の一部を奪われ殺されるとのこと。ちなみに件のモデルは手が強酸をかけられたような怪我を負っていました。

結論ですが怪現象はモデルと人見先生の職場の後輩に学生の頃酷くいじめられていた女性の復讐、でした。その後輩が人見先生に好意を持っていたので巻き込まれた形です。

もう一つの新薬の噂の方は火のない所に煙は立たぬというか、実際それに近い行為はあったようです。人見先生の尊敬する上司が主導していたようなのですが、ことが露見する直前で被験者と思われる入院患者の少年と一緒に姿を消してしまいます。人見先生に謎のファイルだけを残して。

概要だけ抜き出すとトンデモ感がありますけど、実際にプレイすると少しずつパズルのピースをはめるように細かい伏線を回収していくお話で面白かったです。人見先生があまり怖がってくれないのでホラーというよりサスペンスっぽい。

ただ人見先生の自宅など、これは普通の人が仕掛けるのは無理では?みたいな怪現象もあったのが少し残念でした。一言で「全部彼女がやったことだ」で済まされてしまったのでもう少し説明が欲しかったです。

人見先生に関しては本編から好きなキャラなのですが、でも彼女、男を見る目はないなー!
どう見ても怪しかったでしょうに、個人的な好意を持っているためか彼女は後半まで上司を疑おうとしません。彼女は本編ではあまり感情を表面に出さないので、この話で普段どういう風に物事を見ているのかわかるのを楽しみにしていたのですが。

人見先生ほどの人でも目が曇るものか……と若干これまでの人物像からギャップを感じて残念でした。

怪現象にあった時の反応はさすがでしたけどね。不気味には感じるけど、怖がる前に「これは何が起きているんだ?」と確認しようとする冷静っぷりでした。
その姿を消したか消されたかの上司は、名前のない駅の例の組織とも関りがありそうですしまた出てきそうですね。彼を追っていた三流記者も。この人胡散臭すぎて逆にまともな人でしょ、と思ったらその通りでした。

人見先生がオカルト否定派になった事件はまた別らしいので、そこも続きに出てくるのか楽しみです。

 

 

ゆうか編 神隠

ゆうかさんが高校生時代の話で、彼女がオカルトに興味を持つようになったきっかけの事件です。学校の怖い噂「ホルマリン漬けの女生徒」を検証しようと、冬休みで閉鎖された夜の校舎に忍び込みます。メンバーはゆうかさん、発案者の部活の先輩、巻き込まれたゆうかさんの親友、首を突っ込んできた新聞部の子。

閉鎖的な田舎特有の派閥争い、今でも一部で信仰されている天狗様、吹雪のため陸の孤島状態の校舎で感じる自分たち以外の何者かの気配、そしてついに親友が殺されてしまう……と設定の段階でこれでもかっていうくらい盛り上がります(笑) 楽しい!

急に懐中電灯が切れて「今後ろを歩いているのは本当に友達?」と疑心暗鬼になる、真っ暗な校舎を一人で探索するはめになり、ようよう集合場所に戻ったのに全員消えていて一人取り残されるなど、細かいシーンも怖くて一時も油断できません。ずっと張りつめた緊張感のなかでプレイしてました。

事件の種を明かすと、発端は羽黒家と多々良家という村の旧家同士の争いです。

かつての恨みから多々良家出身の教師が、羽黒家の娘である女生徒(例の親友)を天狗の仕業に見せかけて殺害しようと学校に潜んでいた、というわけです。ちょっと金田一ぽい?

実は一緒に学校に忍び込んだ先輩がその教師の共犯者でした。教師とは密かに付き合っていたらしく、そもそも肝試しをしようと提案したのも親友を誘ったのも先輩なので、まあそういうことです。でも先輩本人は本音ではあまり気乗りしなかったとかで、EDによっては土壇場で教師を裏切って助けてくれようとします。なので嫌いになりきれませんでした。

「ホルマリン漬けの女生徒*1」もがっつり関係があって、この怪談は40年前に羽黒家の科学教師と多々良家の女生徒が神隠しにあった事件がもとになってます。神隠しといっても仲の悪い両家と自分たちの将来を悲観して駆け落ち&心中したというのが真相ですが。
この事件の後に羽黒家が立てた噂のせいで多々良家は失墜。おまけに心中したはずが羽黒側の男だけは死にきれず生き残り、結局別の女性と結婚して子供が生まれます。犯人の教師は40年前亡くなった女生徒の弟で、親友がその生まれた子供という繋がりです。

教師と先輩の共犯と言うことで事件は決着するのですが、教師は失踪し先輩は錯乱、親友の遺体は見つからないままです。
ここで本編の時間軸に戻り、ゆうかさんから話を聞いた風海刑事の推理によって教師たちの犯行以外に本物の怪異が混ざっていることに気付かされてしまう、と言うのがこの話のオチです。

実は親友が生存するルートもあって見つけたときはかなり嬉しかったのですが、そっちは結局バッドエンド扱いでした。生き残ってほしかったなー……。

 

 

退魔師 犬童蘭子編

風海刑事の上司、犬童刑事の視点で本編第一話のコックリさんを描きます。
風海刑事と小暮刑事が頑張っている裏で、彼女も高校を調査していたんですね。
選択肢もなく、他の話とはかなり毛色が違います。なんというかバトル漫画っぽい。
怪異の正体も何が起きているのかも最初から見当が付いていて、よっしゃこれから殴りに行くで!みたいな雰囲気で、全然怖くないです(笑)
お狐様の正体とか亡くなった少女の慰霊碑の元々の由来とか、風海刑事の目の前で起きた謎の交通事故の犯人なんかが判明し、一話の補足的な部分もあったり。
彼女は彼女で過去に何かあって、怪異絶対撲滅派になったらしいですが今回はそこまで詳しく描かれませんでした。主婦って名乗ってるし旦那さんを殺されたとかかなぁ。
これも続編の楽しみにしたいと思います。

 

 

 

フルコンプ……というか全話の既読率を八割以上にしたところで、約10時間でした。
話によってわかりやすさや恐怖度などに差があったように思いますが、怖がったり推理したり概ね楽しめました。

メイン級のキャラはみんな愛着が持てたのも大きいです。現時点での一番のお気に入りは道明寺さんですが。

推理要素もありますが、どちらかというとホラーゲーム寄りであるとわかっていれば、プレイしてもギャップが少なくて済むかと思います。
シリーズの1~3全てに大容量体験版が配信されていますので、興味のある方はまずそちらをやってみるのが一番いいと思います。
番外編で続編への熱がかなり煽られたのですが、2をいつプレイするかは今のところ未定です。プレイしたらまた感想を書かせていただこうと思います。
お付き合いありがとうございました。

 

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*1:ちなみに曰くのある教室の背景にはっきり彼女の姿がうつりんでいるのに、キャラクターは誰も触れない。逆に怖い。