トランクルームとスレイベル

ゲームの感想 乙女ゲ多め

ハイリゲンシュタットの歌 全体感想

次は魁の残りのキャラ感想を~といったな、あれは嘘だ。
すみません。予想以上にまとまらず、先にこちらをあげさせてもらいます。

ハイリゲンシュタットの歌をフルコンプしましたので、以下全体的な感想を述べさせてもらってます。ネタバレあり。

今回の感想はいつにも増して主観的なものになっています。
文章の末尾に絶えず「※個人の感想です」とか「※個人差があります」を付け加えてお読みください。

また加えて後半は意識が朦朧とするなかでのプレイとなっておりますので、もしかしたら読み飛ばし等があるかもしれません。申し訳ありません。


万が一未プレイの方がいらっしゃいましたら、私の感想は鵜呑みにせず、合うか合わないか、楽しめるかどうかはご自分でプレイして確かめるのをオススメします。

あと現時点で楽しくプレイしてるよ!できたよ!という方には、あまり読んでて気分のいい感想ではないと思われますのでそっとブラウザバックをお願いします。

辛口気味でも読んでやるよ、という方は続きからお願いします。

 

ざっとまとめ

共通ルートは全6章、個別ルートは(一部を除き)全4章という構成です。
攻略対象は6人。うち二人に制限あり。EDは各キャラ3つ、共通に2つ。

EDを回収するごとに「音のかけら」というアイテムが入手でき、これらを使うことでおまけが見れます。

きっちり全EDでもらえる数=おまけの交換に必要な数なので、バッドED苦手でも回収しておきましょう。
共通ルート最後にキャラクター選択画面に行くタイプのゲームなので、最初から全員の好感度を上げる&フラグを立てておくと時間を短縮できます。

また最初にハッピーエンドを見ておくと、章選択でフラグをいじくって始められるので他のEDが回収しやすいです。
バックログからの巻き戻し機能あり・選択肢ジャンプ機能あり・各章(というかシーン)を選択してそこからスタート可能とシステムはとても快適でした。
背景イラスト&BGMは美しくて良かったと思います。
人物のビジュアルは癖があるので好き嫌いはわかれそうですが、全体的にクオリティは高かったと思います。
問題はシナリオ。

 

 

シナリオについて

共通ルートプレイ中は、正直に言って“商業作品でここまでノリが合わないのは初めてだ……”と思っていました。

本当に感性、と言うしかない部分が根幹なので個人差は激しいと思います。

私は合わなかったけれども合う人には楽しくて仕方ない作品かもしれません。
途中プレイを投げる寸前まで行きましたが、なんとかフルコンプまで行き着けました。

最後までやると楽しめる部分も見つけられたので、そこは幸いでした。

 

 

まず圧倒されたのは、最初からフルスロットルのキャラクターたちの会話。
テンポが良くて、良すぎて、一種身内ノリさえ感じてしまって、身内どころかほぼ初対面のこちらとしては真顔でボタンを連打するしかありませんでした。
どんなキャラか把握も出来てない頃から、掛け合い漫才されても困惑してしまいます……(;´∀`)
主人公が天然気味で、会話も少し不思議な発言が混じるのですが、他のキャラもそこを拾って広げてしまうので全員不思議ちゃんというか電波に見えました。序章はとにかく場面がパッパパッパ切り替わるので、この印象を強めていたような。
ただしこれらに関しては、ゲームを進めているうちにこちらが慣れました。
どういうキャラなのか徐々に把握し、初対面から顔見知りくらいになれたところで、くすりと笑いが出るくらいには楽しくなりました。個人的にはキャラに愛着が持てないと掛け合いも楽しめないです。

最終的にこの会話の楽しさでフルコンプまで乗り切ってますので、一概にこのノリやめてくれとは言えないのが複雑なところです。でも序盤はもう少しハイリさん初心者にも優しくしてほしかった。
ただしちょっとシリアスな話になっても即!漫才が入るのはどうかと思いました。
シリアスブレイカーもいいところで、おかげで真面目な話が全然長続きしませんでした。話の展開にハラハラできなくなり、勿体なかったと思います。
上にも書きましたがノリの合う方なら「最初から最後まですごく楽しい!」というゲームだと思います。

 

次に問題だと感じたのは(実はこれが一番個人的に重要だったのですが)、世界観その他の描写不足です。
大量に用意されている会話文のあおりを受けたのか、世界観の描写は最低限です。
独特な世界設定で固有名詞が複数出てくるにもかかわらず、最初に一行二行で説明するくらい。とあるキーワードに追加で説明が入ったのは、攻略制限のかかっている二つのルートという。
なので“なんとなーくこういうもの”とふわふわした認識のままのプレイになりました。
こういう他にないような世界観モノの場合、イメージ構築のために序盤にもっと説明が欲しかった。少なくとも私は。
上記の補足説明が出てきたときは「なんでもっと早く言ってくれなかったの!?」と心中で思わず絶叫したくらい。
会話のノリを阻害したくないならTips機能として入れるとかさ……やりようはあったと思うのですが。


また描写不足は世界観関係にとどまりませんでした。
例えば主人公は感応系の特殊能力もち(消えたはずの音=想いが聞こえるとかなんとか)なのですが、ずっと「この子は本当はこう思っているんです!」と口で伝えているものと思っていました。
ですが実際には、彼女がその場にいるだけで周囲の人間にも(映像のように?自分の体験として?)自然に伝わるプロジェクターみたいな能力だったようです。
※某ルートで判明。
描写してくれなきゃ、わからないよ……!
どうりで最初の件以外主人公はプレイヤーの見てない部分でしか能力を使ってないなーと思うわけですよ!いるだけでよかったんですね!
他細かいところだと、意気揚々と取り締まりに来た警察官がセリフの途中で呻いて黙る→ついで他の警察官が「はいはい俺たちは介入不可ってことね」といきなり何かに納得するシーン。

何か現時点で正体を見せられないキャラが来たのかな?と思ったら数秒後に仲間がやったことがわかるというシーンもありました。
「悪いな!これは楽団の問題だ!お前たちは引っ込んでてくれ」とでもその仲間にしゃべらせるか“○○に腹部を殴られ昏倒した”とか文章を入れればいいだけじゃん!なんではしょった!?と突っ込みを入れずにいられませんでした。正体を伏せたい時の演出だと思うんだよそれは。
こんな風に必要な状況描写も削っている節が見受けられましたので、どうにも画面外の私は置いてけぼりでした。

 

最後に、個別ルートに入るとそのルートのテーマ以外の諸問題はフェードアウトするのも気にかかりました。
例えばアルシェルートだとテーマは「母親との和解」あたりでしょうか?
それ以外の音の喪失事件とかは気づいたら終わっています。こちらが何もしなくとも勝手に解決している。
二つ目の描写不足と合わせ、これらが積もり積もると「真剣に物語を追おう」という気力が削られていきます。
“どうせ私にはわからない(描写されない)から考えても無駄だ”とか“音の喪失とはなんだったのか”とか考えるようになるんですよね……。どうしても投げやり気味のプレイになってしまいます。
長時間プレイすると頭がふわふわしてくる感覚を味わいました。

 

 

余談
一番謎だったのはファルガーでした。
楽団の使命が「(愛以外の負の感情によって)音楽が利用されることを防ぐ」らしい*1のですが、それにファルガー(武力)を用いるのは逆効果では……?
某ルートでは『ファルガーとは、ベートーヴェンの儚く美しいが不安定な音楽を支える存在』とされていて、でもこの説明だけでは具体的なことはよくわからず。とにかく存在していればシャルに宿る不思議な力が消えないということでしょうか。それとも上記武力制圧の隠喩?
某ファンタジー乙女ゲームをプレイした時も同じことを思ったのですが、きちんと考えられているであろう細かい設定も、作中で開示してくれないとこちらとしてはどうしようもない。色々と独りよがり気味に思えます。
他にも王立楽団、音の喪失事件も色々と思うところはありましたが割愛。もう疲れた。

 

 

総合して

ふわふわしたシナリオを、会話の楽しさでなんとか乗り切った『ハイリゲンシュタットの歌』でした。
キャラは立っているので、キャラ萌えの余地はあると思いますし、馴染めれば会話はとても楽しいです。
ただし会話集が欲しくてゲームを買っているわけではないので、シリーズが展開するとしても私はここまでだと思います。
期待の新作だったので、その他が合わなかったのはとても残念でした。

一応キャラ感想と総評も書くつもりではありますが、どうかな……。

 

 

お付き合いありがとうございます、お疲れさまでした。

 

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*1:なんでこれを最後まで伏せたのかは不明