トランクルームとスレイベル

乙女ゲーム(+α)の感想など

大正×対称アリス HEADS&TAILS 猟師編感想

大正×対称アリス FD、猟師さんこと諒士さん編感想です。
オオカミ編と同じく本編の裏側の物語であり、エンディング回収含めて2時間10分くらいでした。
セリフバレを含むネタバレがあるうえに、今回は自己解釈的な部分も多いです
またオオカミ編の内容にも少し触れてますので、ご注意ください。
大丈夫な方は続きよりどうぞ~。

 

 

 

猟師 CV橋詰知久

『大正×対称アリス HEADS&TAILS』応援中!
ごめんなさい。
本編プレイ中は正直「もう少ししっかりしてくれ~(;^ω^)」とか思ってた部分がありました。
基本放任気味で百合花の暴走へ抑止力になっていないように見えましたし、共依存まっしぐらに見える百合花とアリステアをどうして二人暮らしOKしたのかわからなくて。
はっきりと姿が出てくる数少ない大人(あとは白雪くんママくらいか)だったので割を食ってた感があります。
あと本編だけでは、私には百合花へのコンプレックスが想像しにくかったというのも関係あるかと思います。
大人の諒士さんも優秀そうに見えますし、10歳年下の女の子に劣等感を覚えるものか?と。
もちろん彼も色々悩んだり考えた末の本編でした。
勝手なこと言って、本当申し訳ありませんでした(;'∀')と言いたくなる猟師編でございました。

 
 
有栖諒士とはどんな人か
医者の家系に生まれたこと。
強制はされていないものの無言のプレッシャーを感じ、努力していたこと。
しかし自分の限界も自覚していたこと。
そんな時に優秀すぎる妹が産まれてしまったこと。
どちらも特異な外見をしていたことも大きかったんでしょうね。
平凡な中身に反した派手な外見はコンプレックスであると同時に彼のアイデンティティーでもあった。
けれど妹はより特別な見目であり中身も秀でてる、とくればもう。
結果、彼は妹を避けるようになってしまいます。
兄が両親とは根本的に違うことを感じ取っていたっぽい幼い百合花は、お兄ちゃんと仲良くしたかったようですが。
実際妹を避けはするものの、彼女が本当に参っている時は気に掛けられる優しい人ですからね。
百合花へ抱く感情が本格的に「憎む」ところまでいかず「苦手」でとどまったのは彼の性根の良さのなせるものだと思います。
 
 
また彼には救いがありました。
友人たちは彼に理解を示してくれましたし、とある少年(白雪)との出会いが彼の進むべき道を教えてくれます。
ここ良かった……!
直前に本編白雪ルートをやり直していたので感慨もひとしおでした。
白雪くんはおしゃべりな子ではありませんが、大人びていて色々なことを考えています。
諒士さんがなぜ不味いと言いつつ煙草を吸うのか、妹のことをどう思っているのか、そのあたりも敏感に察していますが、必要に迫られない限り口には出さない優しさも持っています。
最初諒士さんは白雪くんが何らかの問題を抱えているのではと心配して近づくのですが、その密かな交流自体にどんどん安らぎを覚えていくわけです。
そんな白雪くんからだからこそ諒士さんも「医者に向いている」というアドバイスを素直に受け取れたのではないかなと思います。以前百合花に同じことを言われた時は全力で拒絶していますからね。
そういう説得力がありません?白雪くん。
しかし白雪くんの秘密が明らかになった時、このころの諒士さんに出来ることはほとんどありませんでした。直前に全力で関わろうと決意したばかりだったのですが。
オオカミくんの過去と同じく、この時の無力感が彼の行動原理を形作っていると思われます。
でもハッピーエンドはもう少し後です。
 
 
本編中、現実では何が起きていたのか?
そして時は流れて白雪(アリステア)と百合花との再会。
子供の頃すごく反発していたものでも、成長するとほどよい距離感で接することができるようになったりしますよね。
諒士さんと百合花もそんな感じっぽいなと思いました。
ただこの時点では、深いところへ踏み込まない表面上の穏やかさという感じ。
そしてその彼女はアリステア一直線。
自己肯定ができず頼りたかった兄にも避けられてしまった彼女の、最後の砦がアリステアなわけです。
けれどその辺をうまく隠すだけの巧妙さも持っていて、(本編とは異なった)少し離れた視点で見ると百合花さんがうすら寒かったです……。
どこのスイッチで何が飛び出てくるかわからない、ブラックボックス的な怖さがあるというか。
意外だったのはほぼ最初から諒士さんは彼女のあやうさを割と正確に把握していて、そして妹のことも救いたいと思っていたことです。
だからこそ同棲もOKしたんですね。アリステアくんに百合花は必要なくても、百合花を救うにはアリステアくんが必要ですから。
私は勝手に*1治療中の恋愛は避けるものだと思いこんでいましたが、そうではないっぽいです。二人が恋人になっても、それで安定するならいいらしい。
もちろん諒士さんも、百合花とアリステアが共倒れになる可能性も視野に入れていました。
ただ実際、途中までは上手くいっていたんですよね。
両親がいたころはどちらも安定していたし、外に友人(オオカミくん)も出来て、いい方向に進んでいるように見えました。
しかしアリステアくんは恋心ゆえにか百合花を完全な家族として見れなかった。
精神的な基盤として家族という存在を与えるための養子縁組だったのに、前提が覆るわけです。
それに百合花への劣等感もあわさって、新しい人格であるグレーテルが生まれてしまいます。
オオカミ編でも書きましたがここ、先が分かるだけに辛かったです。
 
そしてブログ冒頭の謝罪に繋がります。
当然と言えば当然ですが、どうしてこうなるんだ、と一番やるせなさを感じていたのは諒士さんなんですよね。
彼はこれで正しいのかと常に自問自答しつつも、かつて何もしてやれなかった二人のために走り続けてきました。
けれど諸々の事情で現実はそううまくいかず。
もっと安全策を取るべきだったのではとも思っていましたが、詳しく過程を知るとある程度やむを得ない部分もあったのだと納得はできました。
ここまでプレイしていると、諒士さんの無力な自分への怒りやもどかしさも伝わってきて、なんか本当……ごめんね……。
 
 
そして幸せなエンディング
話をグレーテルに戻して。彼は百合花にとって蜜のような存在ですよね。
百合花の「何をおいても幸せになってほしい」というスタイルに嘘はないでしょうが、同時に「自分にはアリステアしかいない(と少なくとも彼女は考えていた)」「求められたい(承認欲求)」の女でもありますから、鏡写しのようなグレーテルの求め方はよくない意味でぴったり。
このままずぶずぶとメリーバッドエンドに沈みそうな二人ですが、今回ピックアップされた諒士さん&オオカミくんが頑張ります。
百合花にこれでいいのかと問いかけて思いとどまらせたのは諒士さん、不安定になったアリステアに前向きな覚悟をさせたのがオオカミくんですね。
エピローグエンドに向かうには彼らの頑張りが命綱だったわけで、本当お疲れさまでした。
付け加えると諒士さんもオオカミくんに助けられていたところがあると思います。
百合花の性質を自分以外ではただ一人把握していて、自分とは違う立ち位置で彼らを支えてくれる存在。
大人と子供という違いがある以上同じ視界の共有とまではいきませんが、理解者がいてくれるだけでかなり心強かったのではないかと思います。オオカミくんやっぱりグッジョブ。
 
印象的だったのはその後、アリステアを救うための『ゲーム』をはじめた百合花が、「もし負けたら……」と不安をこぼした際の諒士さんの返答。
「何のことを言ってるのか分からねぇが、もしお前が何かしでかしてとてつもない代償を払わなきゃならなくなったとしても、その後始末は俺が責任持ってしてやるよ」
「俺は療士でお前の兄貴だからな。助けるのは当然の役目だろ」
すごい家族愛を感じました。
そして私(プレイヤー)と違って、彼はこれまでほとんど百合花を怖がらなかったことにここで気が付きました。
どんな異常性があっても彼女を受け入れ、信頼して任せる。
言葉にすると簡単に見えてしまうけど、もちろん実行は難しいです。可能にしたのは兄の愛ゆえですね。
勝手な予想というか希望ですが、これ以降百合花が暴走することは段々なくなっていくのではないかなーと。
彼女の捨て身なやり方は「自分の傍には誰もいないから何かあっても傷つくのは自分だけ」という思い込みが大きく影響しているように見えるので、アリステア以外にも大事な存在が増える&自分が傷つくことで傷つく相手がいると知ることで、自然とブレーキもかかるようになるのではないかなと思います。
兄妹間のわだかまりもほどけていきそうで一安心。
 
 
余談
ただ選択肢はハラハラしました……。
百合花を妹として扱うか一人の女の子として扱うかを選択するものが多かったので。
まさか疑似恋人関係を築かないだろうな!?と気が気ではなかったです。
ブレーキの壊れている百合花と真面目がすぎて足をすくわれそうな猟師さん。なんか共依存もありえそうとか考えてしまって。
結局どっちのEDも(一応)ほのぼのに着地してほっとしました。
 
 
 

ぐちゃぐちゃとまとまりなく書きましたが、諒士さん含め周囲がどういう状況だったのかをより把握しやすい内容になっていてよかったです。
アリステアくんの最初の主治医とか、本編の描写だけだと身勝手なおじさんで終わってしまいそうですからね。
今作の代表者は諒士さんとオオカミくんですが、看護師さんとか百合花たちの両親とか、メイン二人は思った以上に色々な人に見守られていたなーと。
これなら現実の方もハッピーエンド後の前途は明るい、かな。
 
このあとは本編を含めた「対アリ、私はこんな感じでプレイしてましたよ」みたいな記録も残しておきたいとか思ってます。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。もうちょっとだけ続くんじゃ。

にほんブログ村 ゲームブログ 乙女ゲー(ノンアダルト)へ
にほんブログ村

*1:共依存関係になりやすかったりどんな影響があるかわからないから