トランクルームとスレイベル

乙女ゲーム(+α)の感想など

大正×対称アリス HEADS&TAILS オオカミ編感想

前回に続きまして対アリFD、オオカミ編の感想です。
追記:プレイ時間は約2時間10分。
こちらはパロディである学園アリス編やエンディングのその後を描いたアフターストーリーとは違い、本編中現実では何が起きていたのかという部分をオオカミ視点で綴った“裏側”のお話になっています。
時系列的には過去の回想から始まり、本編エピローグまで。
関連が深いキャラクターは赤ずきん、グレーテル、アリステアです。
実は個人的にFDで一番揺さぶられたのは、このオオカミ編でして。
面白いか面白くないかで言えば面白かったですし、やってよかったとも思いました。
ただ単純に心地よいだけのお話ではないし、柄にもなく色々考えてしまったので、今回はそれを吐き出させてもらってます。
例によって内容バレ・セリフバレありですので、苦手な方はブラウザバックお願いします。
大丈夫な方のみ続きよりどうぞ。
 

 

大正×対称アリス本編中、複数の世界でありすの友人として登場したオオカミくん。
現実世界でも彼は百合花たちの友人です。
しかし彼は最初から友達だったわけでも、ただ傍観していたわけでもありません。
オオカミ編ではそんな現実の彼の感情変化を垣間見ることができます。
 
 
 

オオカミ (CV花江夏樹)

『大正×対称アリス HEADS&TAILS』応援中!

子供の頃のオオカミくんは身体が弱く、療養のために一時祖母の住む田舎で過ごします。
そこで毎日静かに湖を眺める同じ年頃の男の子(赤ずきん)に出会い、仲良くなります。
しかしとある事件をきっかけに二人は仲違いのような状態になってしまい、そのまま離れ離れに。
成長したオオカミくんは彼を探し出すためにこちらの高校へ入学。
ふたたび祖母の家で暮らしはじめますが、なかなか上手くいきません。
そんななか転校生(百合花)に一目惚れして即告白するも玉砕します。
しかし偶然彼女の家の居候が、かつての友人であることを知ります。
彼は複雑な事情により、オオカミくんを覚えていませんでした。
二人が気になるオオカミくんは、彼らの友人として一緒に過ごすようになりますが……。
 
ざっと抜き出すとこんな感じのストーリーです。
ポイントなのは彼が本気で百合花に惚れていること。鏡の国でも冗談めかして口説いていましたけども。
けれどもあっちゃん(赤ずきんおよびアリステア)のことは本当に心配していること。
さらには百合花の好きな人があっちゃんであることに早々に気付いてしまうこと。
これらの要素により単なる友人キャラや傍観者枠におさまらず、「彼の物語」としてストーリーを楽しむことができます。
 
 
 
オオカミくんは普通の子で、とにかく感性がまっとうです。
また察しが良く、他人を思いやれる優しさの持ち主でもあります。
例えば百合花が不安定になっていて思わず手を差しのべる時。
彼のなかには男子高校生らしく、好きな子には笑っていて欲しいという恋心やもしかしたら自分を好きになってくれるかもしれないという下心があります。
けれど同時に自分の言動によって、今後百合花やアリステアの関係に影響が出る可能性も忘れずに考えられるような人です。

よって、ノリが軽くて親しみやすい性格ですが、でも(このくらいの年の子にありがちな)その場の流れで軽率な行動をとることはありません。
百合花やアリステアが大変なときに、自分の感情を押し付けるようなこともしない。できない。
また誰に説明されずとも百合花とアリステアの複雑な関係に気付き、話を聞いたり間に入ったりして和らげようとします。

ほめちぎってますがしかし、彼は聖人ではありません。
なかなか現実で出くわすことはないアリステアの説明(多重人格)を最初は疑ってしまいます。
※そんな自分をすぐに恥じています。
深刻すぎる状況に一友人としてはどの程度口を出していいものか迷ったり、「有栖家の問題だから」としてシャットアウトされると疎外感に傷ついたりします。
また一度振られても百合花のことは諦めていません。
アリステアを心配しつつも二人が近づきすぎるとヤキモキしたり。百合花といちゃつく妄想をしたり。
「好きって気持ちは自分でやめようと思ってやめられるものでもない」とのこと。ごもっともです。

健全だ……(笑)
葛藤の中身すら健全。そしてとても人間らしいと思います。
悩む人が好き(語弊)なので、彼のこともすごく好きになりました。
というか開始時点で既に立ち位置がつらい。
男二人に女一人で、自分以外の二人はお互いを意識しているとかもうね。
本気で横やりいれるには事情が複雑すぎるし、放置するにはありすズは危うすぎる。
本当大変だったと思います。
先の展開を既に知っていると、プレイ中に胃がキリキリと痛むような錯覚を覚えましたwww
 
 
 
そんな迷える彼の心情が「嘘を吐く」「吐かない」という選択肢として表れています。
1つ1つは些細なことです。
百合花に「いつもありがとう」と言われて、「友だちじゃないスか!」と答えるか「好きな子のためだからね!」と答えるかというような。
小さな嘘が回りまわって命取りになる場合もあるでしょうが、一番最初に彼のおばあちゃんが「相手を守るための嘘は必要」と言っているので、まあ、そういうことでしょうね……。 
 
そして迎えたエンディング、私が最初に見たのはED2の方でした。
嘘を吐かない=自分の恋心を隠さずにいるとこちらになります。
アリステアが鏡の夢から目覚めたので、オオカミくんは改めて百合花に告白します。
結果はやはり振られてしまうのですが……このころになると百合花にとっても彼は大事な友人なので彼女は泣いてしまいます。
気まずくなったオオカミくんが、失恋の傷が癒えるまでと二人を避けるようになってしまうエンディングです。
付き合いは絶たれるしオオカミくん本人も百合花を泣かせてしまったことをすごく後悔しているしで、ほんのりバッドエンドっぽいんですけど……。
いいじゃないですか、告白くらい!!
オオカミくんは好きな人にいいお友達として利用されていると気づきつつも「俺のことをきちんと大切に思ってくれていた」と彼女の誠意を汲み取ろうとするような子なんですよ。
恋のライバルでもある友人の状況が改善するよう奔走し、告白も彼が回復するのを待ってからするような子なんですよ……!
百合花の悩みやアリステアの苦しみはオオカミくんが気にかけている。でも彼自身の煩悶は行き場がないまま。
ならば好きだと告げるくらいいいじゃないですか……!(二回目)
これまでの献身の駄賃として涙くらい流してもらってもバチは当たらないだろ、と外野の身としては思うのですが、そこをそう考えないのがオオカミくんなんだなーと思うと余計に……つらい……。
せめて告白したこと自体は肯定できるようになって欲しいけども。あまりに彼の恋心が切なすぎるので。
 
反対に嘘を吐き続けるとED1。
オオカミくんは自分の恋心を押し隠し、友人として百合花(とアリステア)を支え続けます。
眠り続けるアリステアに対して百合花がいわゆる本編のアレ、フェアリーテイル作戦(私の造語です)を行うつもりだと知った時の彼の反応がこれ。
なら、俺に出来るのは決まってる。
(中略)
二人の友達として、最後まで付き合うことだ。
ここが決定的なターニングポイントだったように思います。ここで彼は完全に百合花の友人であることを決めました。
この場合、二人とはこれまでと変わらない友人づきあいを続けるようです。
ED2を見ているともやもやっとする部分もありますけど、これはこれとしてほろ苦い青春の一ページになるんだ、と思いたい。
精神的に柔軟だからきっと乗り越えて、次は幸せな恋をしてくれると信じたいです。
 
そして嘘を吐いたり吐かなかったりすると(多分)ED3。
告白こそしなかったもののアリステアにライバル宣言をし、勝負はこれから!というようなエンド。
これはどうなんだろう?
ここまでオオカミ編をプレイしてきてEDも2つ見て、すっかり彼のモンペのような心情になっている身としては、オオカミくんが希望にあふれてて嬉しくもあり。
ただ「大正×対称アリス」という作品が彼と彼女の物語であることを考えると結末は見えているようでもあり。
素直に喜んでいいのか警戒すべきかわからず、複雑でした(;^ω^)
 
 

こんな感じで実は一番作中で感情移入できたキャラかもしれません、オオカミくん。
「俺さ、ばあちゃんが病気で倒れたり、溺れてるところを助けられたりした時から、何となく思ってたんだ」
狼だって、誰かを助けたいって
オオカミは医者に向いている、というアリステアへの返答です。
彼のスタンスを端的に表すセリフだと思います。
子供の頃、自分や家族が困っていた時に誰かに助けてもらったこと。何か事情があることは察していたのに、友人を助けられないまま別れてしまったこと。
これらの経験が、友達を助けるために一生懸命になれる今のオオカミくんを作ったいうのは自然だし、納得できました。
何かあると行動指針が振り切れる百合花とがんじがらめなアリステアにとって、彼の絶妙なバランス感覚が救いになっていたと思います。
大袈裟でなくオオカミくんがいなかったら、エピローグ迎えられなかったんじゃないかなとも思います。
お疲れさまでした。
 
 
次は猟師編ですが、総評はどうしようか迷っています。
FDの総評って難しい……(´ε`;)

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