トランクルームとスレイベル

ゲームの感想 乙女ゲ多め

SideKicks! 全体+キャラクター感想

 お久しぶりです…。不定期ブログです(^▽^)/

「真相ルートが良かった」という一言で衝動的にポチっていた今作、無事トロコンできました。
文化エクステンドさんの第二作目です。
一作目の逢魔が刻は未プレイですので、このメーカーさんはこれが初プレイ。おなじみのメーカーさんとはカラーが違って興味深かったです。

今回はネタバレありのゲーム全体とキャラクターごとの感想です。

ネタバレを避けたい方はご注意ください。

 

 

全体感想

短い。

初回プレイは二時間半。フルコンプに9時間半ほどでした。
良くも悪くも、海外ドラマ風乙女ゲーアプリという感じです。
作品の骨子となる事件以外にも多数の事件が登場し、サイドキックス(と主人公)の活躍が描かれている部分は良かったです。
ノリは基本的に明るめ。メンバーはいい人ばかりでわいわい仲良さそうだし、それこそドラマでよく見る捜査シーンもちゃんとある。
しかしその活躍があまりにもスピーディ*1
プレイヤー側が何か考える前に、サクサクっと状況の方が動いてしまう。
そしてこの作品の肝である二つの事件、レインキラー事件と警察署爆破事件。これらは攻略制限がかかっている二人のルートに行き着くまで特段関わってこないので「満を持しての真相」という感が少し薄かったです。
ノラルートで「これもきちんと解決するんだなー」と思ったくらい。もちろん嬉しい驚きでした。
こんな風に(駆け足だったとはいえ)全体を通して、説明が欲しくなるところはきっちり拾って解決してくれていました。
その点はかなり好印象です。

 

このとおり共通のあっさり味については、真相見え見えの事件をダラダラ追われるよりはよかったとも言えるのですが、問題は個別ルート。
それまで心地良い信頼関係を築いてきたのに、好意が急に恋愛方向にシフトします。過程をすっ飛ばして突然キスしてくるメンバーが複数存在します…。
このため、イベントの一つ一つを拾うといいこと言っているのに、いまいち響いてこない。すごく勿体なかったです…。

ビジュアルや演出は自分好みのものが多かったです。
初めて見るけど肉感的な絵柄だなーと思っていたら、どうやら元は男性向けエロゲ畑の方のようです。どうりで。
デフォルメがききすぎて肉が薄い絵柄よりそっちの方が好みですので、無問題でした。
そしてこの方、表情の描きわけがすごい。笑顔も泣き顔もキャラによって違うしなんだか生き生きして見える。
シナリオボリュームに対しスチルの差分も多かったように思います。
背景も一目見ればSideKicks!のものだなとわかるほど、こだわって用意されていて良かったです。
そして演出は一風変わったものが多くて、驚かされっぱなしでした。
最初に海外ドラマ風と言いましたが、制作側もそれらを意識していると思われる部分が多々ありました。
具体的には章のはじまりの予告風ムービー*2や場面切り替え時のCMあけっぽいアイキャッチとかですね。
冒頭のトラックが突っ込んでくる場面で、映像がムービー後シームレスで背景になるのも面白かったです。うまく説明できないので是非ゲームでご確認ください!
音声の仕掛けも多かったですね。
主人公から少し離れて密談しているキャラのセリフは、ウィンドウ表示されずにBGMのように流れるところがありました。※ウィンドウには主人公と別キャラの会話が同時に流れる。
それ以外にも文章にならないセリフが多用されていました。
普段文章を読み終わると音声飛ばすタイプなので、ちょっと戸惑いましたが(;'∀')
細かい効果も使って、なるべく文章と状況をあわせようという丁寧さは素晴らしかったです。

 

 


以下は攻略順にキャラクターの簡易感想。やっぱりネタバレ過多。

 

リコ (CV蒼井翔太)

辛い過去を持ちながらも明るく振舞うサイドキックスのムードメーカーです。
あまりカメラアイが活躍していなくてちょっと残念。
いつものようにショタ(仮)は最初に特攻しました…が全て終わってみると、彼は4番目にすべきだったかなあ。
個別ではお互いを支え合う初々しい二人…という感じです。恋愛に関してはリコが結構小悪魔ですけど。
しかしタテワキルートラストで一転、レインキラーの正体が彼であることが判明します。
一応プレイ中にリコではないかと疑っていたのですが、ただそこに思い至った理由がまったく的外れでした(笑)
レインキラーの目的が「復讐」ではないかと出た時点で、亡くなった二人の関係者のみではなく、兄が昏睡状態になったリコも当てはまるよなーと。そうするとノラルート最後、レインキラーを追い詰めるシーンでその場にいなかったのも怪しいな…という感じでした。
リコの両親が事件で亡くなっているというのも記憶にはありましたが、アサヒナさんとは無関係と決めつけていたため、純粋にびっくりしました。てっきり亡くなったのはアサヒナさんのみで、奥さんと息子さん*3は息災(=リコ両親とは別人)だと思いこんでいたんですよね。
実は次点でクルミちゃんを疑っていて、彼女(?)がアサヒナさんの息子ではと深読みしすぎてました。
これらに関しては見事に用意されたミスリードに引っかかったのかな? こういうの楽しいです(笑)
それにしても判明したリコの背景が重たすぎる…。
エクストラでリコED後の彼視点ストーリーもあったのですが、まったくその辺には触れられてなくて逆に怖かったです。
しかしこれらを差し置いて一番衝撃だったのはタテワキルートで彼が死んでしまうこと。そこは乙女ゲーム的お約束で助かるものだと…。

 

 

ヒバリ (CV遊佐浩二)

やわらかな物腰の心理分析官。
こういうキャラにはよくある、というとアレだけど、周囲の感情を敏感に察しすぎて人間不信になってる人です。
彼自身、巧みな話術で感情を誘導したりも出来るので、それらがどれほど不確かなものなのかを否が応でも思い知っている。それゆえに不安で満たされないという感じ。
要はめちゃくちゃ寂しがり屋さんです。このゲームでは彼に限ったことではないんですけど。
今作の主人公は裏表がなく、根っから善良な子なので、こういうひねたタイプとは相性抜群です。
私はと言うと、かるーく手を出され、そのあとさらっとなかったことにされようとした時点で「もう捨てたれ」と主人公にアドバイスしたくなりました(笑)
仲間としてはいい奴だと思っていたので、謎の裏切られた感が。そしたらその選択肢が正解で「やっぱりこの人めんどくさい!」と笑いました。
ヒバリも人としてまっとうだから色々悩んでしまうし疲れちゃったんだろうなとは思いますけど。
余談ですが、このルートのサブキャラであるシオンの声優さんの演技が好きでした。彼女の色々な感情がごちゃまぜになった不安定さがすごく伝わってきました。

 

 

チカ (CV石川界人)

サイドキックスの熱い荒事担当。
雨の日に捨て猫を拾う不良です。ベタだけど、作中でまんまその通りのことをしています。
最初は主人公に当たりが強いんですが、まあそれが普通だと思います。客観的に見たら主人公滅茶苦茶怪しいよ。他の人らが柔軟すぎる。
ぶっきらぼうだけどみんなのことは大事に思ってて、努力家。そのあたりをきちんとエピソードとして入れてくれたのは良かったです。
孤児院出身で元は素行不良だったらしく、メンバーの中にいても疎外感を消せない、というのはこちらも想像しやすくて辛かったです。加えて上司命令ではあっても犯罪者を射殺してしまった過去が彼に影を落としています。
そのことで絶縁してしまった孤児院時代の親友との話が主なんですが、事件だけでなく心情的にも決着がつき、ものすごく綺麗に解決してて良かったです。
携帯端末の操作が苦手でたどたどしくひらがなで打つところや、バッドルートで雨の中「いかないでくれ」って音声のみ入るのはあざと可愛すぎました。
タテワキさんと並んでツートップ最萌。

 

 

シシバ (CV白井悠介)

淡白なようでいて優しい天才ハッカー
主に情報分析方面で大活躍。
冷たく見えたのは最序盤のみ。リコをはじめとするメンバーたちをずっと気にかけてるいい人です。ただ彼は当然のことをやっているだけだと思っているので、お礼を言われると驚きます。
また「僕が消えても誰も僕を探さない」という漠然とした孤独をずっと抱えている人でもあるのですが、「主人公が消えたら絶対探しに行く」と言ってくれます。でも「だからそっちも探しに来て欲しい」とは言わないんだよねー…。
行動が自分の中で完結していて、誰かに何かを期待するということをしない。コミュニケーションへたくそ。
どこかでも言った気がしますが、こういうタイプはいじらしくて好きです。頭撫でて褒めまくりたい。
ただそんな彼が主人公に「僕が好きなの?」といきなり問いかけるのは強烈な違和感がありました。そういう自惚れをするタイプでも察しのいいタイプでもない気がする。なにより「(攻略対象に感づかれるほど)主人公の好意は育ってたっけ?」と思った記憶があります。
なのでキャラクター的には美味しいんだけど、恋愛の流れはちょっと微妙でした。
事件関係は緊迫感があって良かったんですけどね。
このルートの犯人であるアヤメがすごくいいキャラすぎて、「FDで攻略したい」とか思ってました。文化エクステンドさん的にはそういうFD展開はありなのでしょうか。

 

 

ノラ (CV杉田智和)

神出鬼没のフリーライター
このルートから意味深なことを呟いていたノラの背景や、彼の握っている情報が明かされていきます。
しかしのらりくらりと掴みどころのないキャラなので、恋愛方面の過程が見えないのは致命的でした。ただでさえサイドキックスのメンバーではない唯一の攻略対象なので、共通ルートの絡みも少ないという点でも不利でしたね。
どこで惚れたか惚れられたかわからない*4ので、いまいち乗り切れなかったです。
どちらかというと主人公の言動に感心しきりだった気がする。
悪党に捕まってやむなく「俺がレインキラーだ」と嘘をついたノラに対して「たとえ本当にノラがレインキラーでも、もう好きになっているからとっくに手遅れだよ!」みたいなことを言うのが衝撃だったので。
言いたいことはわかるけど、こんなにストレートに言葉に出来る子はなかなかいないかと(笑)
この主人公、いい意味で取り繕うということをしないんですよね。世間的に正しいとは言えないかもしれないけど、自分の感情には正直なので説得力はある。
それはそれとして、この嘘どう考えても悪手だと思う…。普通じゃあさっさとまとめて始末しよう!ってなるよね…。
今までの言動が祟って、主人公に信用してもらえないノラが焦りまくるシーンなどは良かったです。避けられてガチでへこんでる様子が可愛かった。
ただ彼がラストにあんまりきっぱりと「黒幕はタテワキ」と言うので、逆に「これは絶対に違いますわ」と確信しました。
ノラさん色々ガバガバすぎて面白かった。

 

 

タテワキ (CV津田健次郎)

飄々としたサイドキックスのリーダー。
あまりにも全ての要素が「タテワキが黒幕!」と主張するので逆に怪しくなかった人。
鏡界の白雪の時といい「一見頼りないけどやるときはやる年上萌え」属性に目覚めそう…と思ってたけど、よく考えたら(これはRPGですが)SO3もクリフが最萌だったので、元々持ってました。
そんな大人が恋に溺れるシチュエーション好きなので、上司だから普段はおくびにも出さないけど実はすごく執着していた…とかだとすごくツボだったのですが。実際はこのルートも唐突に恋愛に入ってしまって、残念でした…。
タテワキさんに関してはもっとくっつく前のあれこれが見たかったです。
シナリオはレインキラー関連の消化でいっぱいいっぱいだったからね、しょうがないね。
最初にバッドEDを見てしまったので、ハッピーの方の彼が死んだというシーンで芝居だとわかってしまったのは(私が)本当に良くなかった。すぐメタ読みするクセどうにかしたい。
でもあそこのお葬式のスチル、絶望の表情がそれぞれ違ってすごい印象に残ってます。
黒幕に関しては消去法でヤシロさんしか残ってなかったんですが、最後の最後まで半分くらいは別の人ではないかなーとも思ってました。こう、それまで影も形もなかったけど、ポッと出の警察署長が登場するんじゃないかなとか。違いましたけど。
彼女の語る犯行動機は理解はすれど納得はできないものでした。
あんまり犯人側に感情移入しすぎても後味悪くなっちゃう*5ので、乙女ゲーム的にはいい塩梅だったのかも。

 

 

イノリ (CVなし、名前変更可)

今作の主人公。
真面目で善良、恋愛には奥手な優等生系です。
スチルも彼女の顔を隠すものがいくつか見受けられたので、意識して無個性であることをデザインされている気がします。
何度か誘拐されたりもしますが、彼女に落ち度があるというより不可抗力の面が強いので、サイドキックスにいてもそこまで足手まといという感じではなかったです。
何より攻略対象の問題にきっちり彼女なりの答えを出しているのが好印象でした。
彼らのこれまでの人生観と言うべきものをぶつけられても、毎回真剣に向き合い、素直に返答。考え方も健全なので、内容にも安心感がありましたね。この子に任せとけば大丈夫、みたいな。
謎の予知能力の持ち主ですが、なぜ能力を持っているのかなどには全く触れられず、とっとと話を進めるための要素でしかなかったのは肩透かしでした。そこ掘り下げるとジャンルがSFになっちゃうから仕方ないのかな。
攻略対象たちがアメリカンな設定のため、路チューを強いられるシチュエーション多めなのはご愁傷様でした。

 

 

 

結局シスイさんが何者だったのかもわからずじまいでしたね。
彼の決して他人に深入りしない俯瞰するような感じ、神の視点だったように感じたのですが真相は闇の中です。

 

ライトに面白いんだけど、するーっと飲み干せちゃうので後に残りにくい。乙女ゲームなんだから恋愛シナリオも頑張ってほしい、というのが本音です。
方向性は好きなので、あとは単純に尺です。むしろどうしてここまで削ってしまったのか。
恋愛以外の部分は大きな矛盾もなくまとめているので余計にもったいないです。
まだ新しいメーカーさんなので、今後どういう展開をするのかまったく予想できないのですが、FDが出るならチェックしたいと思います。

お付き合いいただきありがとうございました。

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*1:だいたい一章にひとつ事件を解決している

*2:「前回までのサイドキックスは…」というナレーション付き

*3:これも一人と思い込んでいた

*4:これはノラに限らずですが

*5:ただでさえリコいるし