トランクルームとスレイベル

ゲームの感想 乙女ゲ多め

神なる君と 八雲ルート感想

色々途中のものもありますが、同時進行で泣ける乙女ゲームに高確率で名前があがる「神なる君と」もプレイ中です。
今回は初回プレイ感想を含んだ八雲ルートの感想になります。
ネタバレありますので大丈夫な方だけ続きからお願いします。

 

 

竹清八雲 (CV羽多野渉)

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よくわからないままその場の流れ*1で近所にある「国星神社」の神様になってしまった主人公。
物語の前半部・共通ルートでは癖のある幼馴染やクラスメイト・先輩たちと協力して、危険と思われる妖の調査をしたり絵馬のお願いを叶えるなどの神様業に励みます。
神様業中は全体的にギャグ風味で会話はボケ・突っ込みの応酬がすごいしパロネタもガンガン入ります。
特に八雲兄さんよりの選択をしていると、「気づけば八雲兄さんが人外(クマの神・宇宙人など)とステゴロしている。しかも勝つ」というオチが複数あってお笑い成分多めでした。
この辺は合う合わないあるかもしれませんね。笑いのツボって特に個人差あるし。笑いが止まらないという人、ちょっと寒い、あるいは乙女ゲームにギャグはいらないという人もいると思います。
私は騒がしいの好きです。にやにやしてたと思う。
とはいえこのままラストまでいかれると(乙女ゲームとしては評価できないため)辛いぞ…と思ってたらだんだん不穏な空気が。
そして個別ルートはあの八雲兄さんがしっとり切なめで、前半と後半の雰囲気の落差にびっくりしました。
違和感を感じるわけではないですが、前半楽しかった分後半ボディブローのようにきいてきます。
そういう意味で夏空のモノローグとかデザート・キングダムと作風が似ているかも。

 

今回攻略した八雲兄さんなのですが、彼はとにかく明るい人です。何に対しても「よし!じゃあ走り込みするか!」と回答しそうな脳筋タイプ。しかもなぜか大体どうにかなってしまう高スペックの人でもあります。
主人公とは幼いころ孤立していた手を差し伸べてくれたヒーロー的存在で、頼りになる兄貴分という関係性。
いつも一緒にいてくれた幼馴染と進学をきっかけに離れることになって云々…みたいなストーリーかと思ってたら全然違いました。いや、健康優良児な彼が学校を休みがちになる時点で嫌な予感はしてましたけども。

 

先にネタばらしすると、八雲兄さんには段々と眠りが長く、深くなる呪いがかけられています。
主人公の住む土地には数百年前に大妖という災いをもたらす存在が現れましたが、当時の人々はそれを完全に消滅させられず殺生石に封じ込めるので精一杯でした。そのうえでそれでも漏れ出す大妖の力の影響を抑えるために、定期的に生贄を捧げていました。
何人目かの生贄に竹清家の少年が選ばれるのですが、一度は生贄として死ぬもとある妖怪の助けによりこの世に蘇ります。これが八雲の先祖です。
しかし生贄が不完全な状態になったためか、殺生石の影響は竹清家の子孫に「眠り*2」の呪いとして受け継がれることになります。それが八雲に発現してしまったと。
どうやら兄さんの超常現象めいた能力もその副産物らしいです。
その後症状の重くなっていく八雲は弓鶴先輩(正体は妖怪)に選択肢を与えられます。
1つはこのまま呪いに身を任せる。眠る時間は段々長くなりますが、いつかは必ず目が覚めます。
もう1つは八雲の精神力でもって呪いと戦う。ただし少なくとも数年眠りっぱなしで、おまけに成功する確率は低いそうです。失敗すると永遠に目覚めなくなってしまいます。
八雲が選んだのは戦うことでした。

 

事情を知ってなんとかしたいと考える主人公。
他のルートをやってないので比較はできないのですが「神様なら、『運命』だって変えられると思ってたーー」というキャッチコピーに対して、このルートでは神様(臨時)というよりあくまで幼馴染の女の子として頑張っているのが特徴なのかなと思いました。
彼のために神様としてお守りを作ったりするものの、その効果がなくてもそこまで悲観的にはならない。それなら八雲の傍に一緒にいることで支えよう!というのがこのルートの彼女なりの戦いです。
八雲はなるべく自分が困っていることを隠そうとするタイプです。ばれても笑顔で「たいしたことないって!お前は気にしなくていいよ」という態度。最後まで彼女のヒーローであるため、弱い姿は見せられないと考えているわけです。
しかし主人公が「無理しなくていいよ、一緒にいるよ、愚痴も聞くよ、ヒーローじゃなくてもいいよ」とひたむきに訴え続けたため、ついにぽろりと「次にいつ目が覚めるかわからないから眠るのが怖い」「どうして俺なのかな」と本音がこぼれます。
弱りきった八雲に抱きしめられて、彼の肩越しに星空を見る主人公が「この人が世界で一番大切だ」と自覚するシーン、とても好きです。自分にとって本当に大切なものは大変な時になってわかる、ということで想いの自覚としては大変自然だと思います。
好きな人だから支えたい、という恋する女の子の強い部分が芽生えるんですね。

 

その支える部分をしっかり書いてくれたのも好みでした。
そう、八雲兄さんが呪いと戦うために眠りについたあと普通だと「あれから5年」みたいなモノローグで時間が飛ぶと思うんですよ。神なる君とは飛ばないんですよ!!!
八雲兄さんが目覚めたときに必ず傍にいる、と約束した主人公。
1年目は高校を卒業し、花屋で働きつつ八雲のお見舞いに顔を出して過ごします。この時点ではまだまだ気力がある主人公。
しかし月日が経つと段々彼女も不安になってきます。
特に「5年経って目覚めなければ絶望的」と聞かされていたので、5年目の星祭り(眠りについた日)にはすがる思いで眠る彼に語りかけます。なんのかんのいって八雲兄さんのことだからきっと期限ぎりぎり、奇跡のように目覚めるに違いない…と祈りに近い期待があるわけです。しかし彼は結局目覚めませんでした。
それでも待って7年目。ここまでくると周囲の人の方に変化が生じます。
八雲の両親、主人公の両親は「今までよくやった」「ここで他の幸せを探しても誰も責めない」とやんわり諦めることをすすめます。呪いの発生に関わっている弓鶴先輩は「巻き込んですまなかった。お前が何と言おうとお前の中の八雲の記憶は消すからこれ以上苦しまなくていい」とまで言われてしまいます。
感情が爆発する主人公。ここで周囲の提案にふらっと身を任せそうになる自分自身が一番許せない、と心情を吐露する彼女のことをとても好きになりました。元々好みの子ではあったんですけどね。
しかし大切だからこそ7年は長いし辛い。特に弓鶴先輩は「お前は嫌がったのに僕が勝手に記憶を消すんだから罪悪感はいらない。僕を憎めばいい」と弱っている主人公には大変魅力的な申し出方をするんですよね。先輩を説得できるか否かでエンディングが変化します。
八雲が目覚めたのは結局10年後。
ノーマル(バッド?)EDだと、八雲が目覚めたときに傍にいるのは弓鶴です。弓鶴が主人公の記憶を消したこと、記憶のない主人公は既に家庭を持っていることを聞かされどこか呆然としたまま外に出る八雲。
彼の家も神社も学校も外観は10年前とほとんど変わりません。時間の経過などなかったと錯覚しそうになる八雲。しかしそれを否定するように大人になった主人公が前から歩いてきます。綺麗になった彼女は八雲に気付かないまま近づいてすれ違う…というEDです。すごい切ないし八雲兄さんの文章が胸に来るEDでした…。
グッドEDだと弓鶴先輩に決意を伝えなおして説得するため、記憶は消えません。そして変わらず八雲の傍にいることを選んだ主人公は10年後の星祭りの日、うとうとと彼の隣でうたたねしてしまいます。そんな彼女を起こしたのは目覚めた八雲だった…というものです。
バッドEDを先に見たので感動もひとしおでした。前述しましたが待っている間の苦しみもきちんとシーンにしてくれているので、このEDへの思い入れも強くなります。EDロール後は子供もできて3人家族で幸せそうだったしめでたしめでたし。

 

プレイ開始当初はどう転ぶのか期待半分不安半分だったのですが、1ルート終わってみると笑いと切なさの比率、主人公含む登場人物はかなり私好みです。
あとは萌えられるキャラ・ルートがあるかどうかですね。
こういう重たい真相があるものは萌えどころじゃなくなってしまう傾向があるんですが、さてさて。
次は旧校舎在住の幽霊、苓くんを攻略予定です。
ただ冒頭に書きましたが色々つまみ食い中なので次の記事は別のものがあがるかも。
お付き合いありがとうございました。

 

 

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*1:とは思えませんがまだ理由が出てきてないので。

*2:正確には魂とか時間・生命力を奪うもの