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灰鷹のサイケデリカ サブキャラ+フルコンプ感想

灰鷹のサイケデリカ、残りのキャラクター(ヒュー/親世代4人/主人公)の感想と、フルコンプしての全体感想です。

正直前回の記事上げた後ではほとんど意味がないと自分でも感じたため、結局ネタバレ全開です。黒蝶のサイケデリカとの比較も存在します。

ご注意ください。

 

 

ヒュー (CV浪川大輔)

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旅を記す男。

ルートもEDもあるのに、公式サイトに記載されていないのは他と比べるとボリュームは少ないから? ハイタカよりよっぽど恋愛色は強かったように思うのですが。
彼はもともと灰の魔女(主人公の祖母)と共にいた灰色の鷹です。スモールウルフ(後述)に殺され、魔女に看取られたことによって色々超越した存在になってしまった模様。その代償としてか存在が非常に不確か。自分の存在の証明や物語を求めて様々なサイケデリカを旅してきましたが、結局古巣(今作の街)に帰ってきました。
この世界の行く末を決めるカギは主人公にあると感じていて、積極的にお手伝い。しかしヒュールートや旅人ルートでは、自分を見てくれる(存在を証明してくれる)主人公を気に入ってしまい、「魔女」の宿命を取り上げて攫ってしまいます。これにより主人公は物語から退場。ヒューと旅をする蝶か、普通の少女になります。

 

 

始まりの4人

これでまとめます。やっぱりネタバレ。
オルガ:加害者と被害者のどちらも身内という、真相を知るとめちゃくちゃ可哀そうな人でした。
オルガとフランシスカ、アリアとハイタカが夫婦だと予想していたのでちょっとびっくり。この辺はうまくミスリードにひっかかった感じですかね。そしてラヴァンと主人公は実の兄弟だと思ってました。髪の色もあって幼少期のスチルでそっくりに見えたので。というかどうやったら赤毛と栗毛で黒髪が生まれるんだ。隔世遺伝かなんかか。
オルガに関しては(未来があるのか不明ですが)一応アリアと再会はできたようなのでなにより。
アリア:主人公の母。作中聖母のようなポジション(死ぬ間際でも微笑みを絶やさない)なので、人間味が薄くていまいち感情移入はできませんでした。
エイプリル:現ハイタカ。幼少期はスモールウルフという名前で呼ばれるほど、他者の感情がわからないサイコパス的側面のある少年だったようです。灰の魔女に憧れて、彼女の最後の言いつけ通り友人が出来たまではよかったけど、自由な生き方まで真似た結果がこれだと思うと大変やるせない。
妹に妻を殺されたばかりの親友に咄嗟に「また4人で幸せに暮らすことはできないのか!?」とか言ってしまうあたり、状況を分かっていないというか、やっぱり本当の意味で他人のことを考えられる人ではないのだなあと感じられました。家庭を持ってはいけないタイプだと思います。
フランシスカ:この作品の個人的MVPです。彼女の存在によって作品にえぐみが増すというか、癖がつくというか。
生前、彼女は主人公の前ではどこまでもいい母親です。彼女の死後ようやく彼女がかつて何をしたか、実はどんな性格だったかがわかるのですがそれを表に出しません。

またなぜ主人公に愛情を注いで(いるように見える)育てたのかが一切わかりません。
その辺がブラックボックス的に得体のしれなさを演出していて、大変よかったと思います。正直手記読んでも理解はできても納得はいかなかったですが、ある意味狂人の理屈なのでそれも当然なのかも。

 

 

主人公 (CV田村睦心)

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選択する少女。

思ったよりも低めのボイスで初回びっくりしましたが、男装主人公なのである意味当然でした。落ち着いているのにかわいらしさもあって良かったと思います。

デフォルト呼びが搭載されているせいか、名前を変更していると一部のセリフが違和感バリバリでした。うまーく二人称に置き換えているものと、謎の空白になっているものがありました。
ちょこっと身内に肩入れしすぎる点を除けば、精神的にバランスも取れてるいい子だと思います。
親の因果が子に報い…じゃないけど、親世代の負の遺産のために彼女自身は何もしていないのに街の命運を肩に乗せられて不憫でした。行動派だと思っていたので、その印象にぶれがない少女ルートの彼女が好みです。というかフランシスカといい、私は激しい女性が好みのようです。

記憶もない実母<育ててくれた養母なのか、なんとなくフランシスカを庇っているシーンはあるものの、主人公がフランシスカのしたことについてどういう決着をつけたのかは深く描かれずに残念でした。

そんな主人公はゲーム自体が特徴的な構成のため、「魔女として審問される前夜、幼馴染(兄)に愛の告白をされ、幼馴染(弟)を「好きだ」と感じながら、敵の当主にキスされる」という離れ業もやってのける。ここまでくると素直にすごいと思いました。

 

 

 

フルコンプ感想

灰鷹のサイケデリカ、面白かったです。

まずは共通ルートの感想をば。

序盤はマスカレードという年に一度のお祭りを成功させるために、便利屋として雑用したり対立する狼と鷹の一族の間を取り持ったりします。ここは正直初回ちょっと退屈でした。トークエピソードっていう街の人の何気ない会話を延々聞く作業があり、物語的にも起伏らしい起伏もなく間延びした印象。

しかしマスカレードが大成功に終わった直後、主人公の養母でラヴァンたちの実母であるフランシスカが突如魔女としての嫌疑をかけられ襲撃を受けます。結局主人公の目の前でフランシスカは殺されてしまいます。
この最初の山場からぐんぐん話に勢いがつき、面白くなってきます。
指示をしたのはオルガ。彼は魔石の影響を受けて狂気に陥っているのでは、という疑惑が生じます。
それ以降オルガ一派は圧制を敷き住民は怯えて暮らすようになります。当主を殺された狼の一族(ラヴァン・レビ・主人公)とオルガのやり方を良しとしない鷹の一族の派閥(ルーガス)が手を組んで、打倒オルガのために動き出します。
オルガの屋敷に攻め入った際、一番最初にオルガのもとにたどり着いたのは主人公でした。彼に勝利し拘束したところで、謎の旅人ヒューの手引きにより主人公の力と魔石が共鳴。かつてこの街に何があったか知ることになります。

実はこの街全体が、かつてオルガとエイプリル(ハイタカ)によって作り出された幻。住人たちは全員すでに死んでいます。オルガとフランシスカは実は鷹の一族に生まれた兄妹。そして主人公はオルガとアリアの子供でした。
当時の街には鷹の当主であるオルガとアリア(魔女)、狼の当主であるエイプリルとフランシスカという二組の夫婦がいました。しかし兄が変わってしまったこと、夫が自分を見ないことを「アリア=魔女のせい」とこじつけたフランシスカは、街の人間に彼女の秘密を教えて殺すよう唆します。火をつけられた屋敷でアリアの死に立ち会ったフランシスカは、何を考えたか生まれたばかりの主人公を連れ出します。
留守にしていてアリア救出に間に合わなかったオルガは、その怒りのまま住民を虐殺。カレイドヴィアを使ってアリアに再会しようとします。そこで遅ればせながら事情を知ったエイプリルが追いつき、戦闘。エイプリルは塔から落ちて死亡、オルガはカレイドヴィアが作動しなかったことで失望し復讐を誓います。しかし実際には不完全な形で街ごとサイケデリカに飲み込まれていた…というのが真相です。
この種明かし的第二の山場が物語的ハイライトだったような気がします。

その後は力を使ったことで瞳のことがバレた主人公が、魔女として捕まり各種個別ルートへ進みます。しかし萌えたかどうかを別にすると、個別ルートは物語的には後処理ぽいというか失速感が否めない。
というのも「幻と分かっていて偽りの生活を永遠に続けるか、未来に希望を持って解放されるか(ただし街と住民は消える)」という選択が、この作品の最重要ポイントであると思われます。
しかし実際にはほとんどのルートで主人公がそれを選択した、という描写が不足しがち。選んだというより、囚われながらどうしようか迷っているうちに攻略対象のほうが行動を起こしてしまって、それに流されるままなしくずしに存続を選んでいた、という感じなので。
確固たる覚悟をもって選んだ、と言えるのは(恐らく本命である)少女ルートのみです。またこのルートのみ解放を選択しているので、ある意味これだけがハッピーエンドと言えます。
存続を選ぶと住民は世の理からはずれたまま。よってこの世界で死亡すると魂は元の流れに乗れないようなので。また魔石によって狂う人間は絶えず生まれてしまう=争いは止まないらしいですし。
存続にしてももっと意識的に選ばせてくれたら、背徳感とかメリバ傾向が強くなって好みだったなと思います。

※少女ルートは、世界の解放のために主人公が「魔女」としてルーガスに殺されることを選ぶエンドです。魔石のひとつが彼女の瞳と同化していて取り出すには死ぬしかないことを知り、もし失敗したときはルーガスが魔女から街を救った英雄としてみんなを導いてほしいと考えた結果です。街は解放され、しかしサイケデリカで死んだ主人公は本来奈落に落ちるはずでしたが、後を追ったルーガスによって引き戻されます。そしていつかの世界(現代。前作のアイとは友人になっている)でルーガスに似た青年と再会するというもの。今世ではラヴァンたちとは知り合いじゃないっぽいしルーガス勝ち組だなあ。


先日のメインキャラ感想に「個別EDにも容赦がない」と書きましたが、私がサイケデリカシリーズの好きなところはまさにそこです。ご都合主義的なキャラクターの幸せより、ストーリーの流れや物語的面白さを優先している内容になっていると思います。
「こういうキャラとこういう恋愛イベントをしたい。じゃあストーリーはこう持ってこよう。設定はこうした方が映える」
これも当然アリです。しかし、
「こういう世界のこんなストーリーの中だと、どんな恋愛・結末になるだろう」
こういうゲームがあってもいい、と思います。
その結果完全に幸せなオチでなくとも納得はできます。大前提として物語として面白いか、あるいはなるべくしてなったという説得力が欲しいですが。
ただそれは受け入れられない、もっと好きなキャラクターに幸せなEDが欲しかった、という意見も理解できます。そういう意味では前作が高評価だったと知り、ちょっと意外でした。もっと評価割れすると思ってた。
上手いのはEDの不遇分(っていうと語弊がありますが)を主人公への好感度の高さでバランスを取っているところだと思います。結末がほんのりやるせないものが多い分、道中最初から好感度100の甘いイベントを入れることで乙女ゲー成分を補充しています。この辺は好みでしょうが、私はほどよいと感じました。
前作では「ボリュームが少ない」「SSのせいで流れが途切れる」と不満点を挙げていましたが、その辺は今作で改善されていました。ボリューム厨っぽいところがあるので、特に初回プレイ9時間半はいい意味で予想を裏切られて嬉しかったです。
ただその代わりというのかなんなのか、黒蝶にも勝る一本道っぷりになってました。黒蝶は一人のキャラのグッド/バッドEDについて、そもそもの分岐点が違うというのが新鮮でしたし、選択肢がEDへ大きく影響していることがわかりやすくて好きだったのでこの変更は残念でした。灰鷹はほとんどのルートが全体ラスト付近で分岐するので、思い返してみると個別の印象がかなり薄いんですよね…。
そして前述しましたし前作でも気になったのですが、(ほぼ共通ルートのため)共通の時点で既に他作品の個別並みにいちゃつくイベントが存在します。それはそれとして、主人公がまんざらじゃなさそうなのが気になります。もやっとすることがあるのでせめて主人公の反応は調節してほしいなと思います。

 

すみません、もうちょっとだけ続くんじゃです。
次は自分用のサイケデリカの世界観メモをのっける予定なので、ロレンス・エルリックはそこで。
お疲れさまでした。

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