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トランクルームとスレイベル

乙女ゲーム(+α)の感想など

夏空のモノローグ 綿森ルート+フルコンプ感想

秋アニメがそろそろはじまりますね。

原作が好きな「ドリフターズ」「刀剣乱舞ー花丸ー」「魔法少女育成計画」「バーナード嬢曰く。」はチェックします。前二つは有名だし観る人も多いのかな。

魔法少女育成計画」は、普通の女子高生や主婦が不思議なアプリの力で魔法少女に変身し、それぞれに与えられた魔法の特性を生かして戦うデスゲームラノベです。

当然登場キャラは死にまくります。また中身は普通の現代女性たちなのでグループ内でマウント取り合ったりなどの、見た目に反した生々しさが特徴のシリーズです。個人的に1巻が一番面白いと思う。

反対に「バーナード嬢曰く。」は読書家ぶりたい女子高生とその友人たちの、読書家あるあるのゆるーいコミック。あるあるネタに限らず、キャラクターの読書に対する変なこだわり・偏見・うんちくなんでもありです。現在2冊しか出てないので大変集めやすい。

気になった方は是非アニメ視聴してみてください。

 

追記から綿森ルート、フルコンプしての感想です。

ネタバレありますのでご注意ください。

 

綿森楓 (CV岡本信彦)

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主人公の前に度々現れ、何かを知っているそぶりを見せる謎の青年。

さていよいよラスト、真相が明かされる綿森ルートです。
とはいえループ関連の真相は引っ張ることもなくルート入るとすぐにわかるし、綿森さんと恋に落ちてどうこう…という感じのルートでもありません。
このルートはずばり「主人公が明日を望めるようになるか」が焦点です。

 

先にものすごくざっくり真相を言うと「綿森には特殊な能力があり、かつてツリーを出現させたのは彼。しかし彼が出現に力を使い切ったために、ツリーはタイムマシンとして動作はせず休眠状態に。その約30年後、たまたま綿森に精神がよく似ている主人公が現れ彼と同じ望みを抱いたことで、意図せずツリーを目覚めさせてしまいループを引き起こした」というのが発端。
加えて「ループ現象は実は7月29日だけを繰り返しているわけではない。たとえその1日ループを終わらせたとしても、その時点でさらに1年前*1に遡ってしまう。綿森以外はこの1年ループに関しては記憶を保持できないが、世界はすでにその1年を数千回繰り返している」ということも判明します。つまりこれまでプレイヤーがプレイしてきたあれこれのルートは、ifの世界線ではなくその1年ループの中で実際に起きていたことなわけです。そういう意味で一番プレイヤーの視点に近いのは綿森さんかもしれない。
しかし、ということはこの時点で世界は一度も7月30日をむかえられていないということになります。ゲーム中、EDのその後が描かれないのは恐らくそのためでしょうね。
ループを引き起こしているのは主人公なので、彼女が望めばいつでもループを止められるらしいのですが、他のEDでは「誰かのために」明日を望んでいたため1年ループを越えることは叶わなかった模様。他ならぬ「自分自身のために」明日を望まないとダメ、らしい。
ツリーの能力にもいつか限界が来て世界はループから永遠に抜け出せなくなること。また数千回繰り返して*2少しずつ主人公の様子に変化が起き、今ならすべてを受け止められるのではと綿森が思ったことにより、このルートがスタートします。この一度のための数千年です。そう考えると途方もないし、綿森からすると冗談じゃないかもしれませんが、浪漫を感じずにいられません。

さてこれまでのプレイでよくわかるかと思いますが、肝心の主人公は問題だらけです。記憶喪失がきっかけで生じた母親との不和、そして周囲からの孤立。彼女が安らぎと楽しさを感じられるのは科学部にいるときだけであり、だからこそどのルートでも科学部廃部の日である7月30日を異常に怖がります。このルート以外ではそのあたりが根本的に解決していないので、ループは終われないのでしょう。
といっても綿森はそこを指摘したりわかりやすく導いたりはしません。
「なぜ明日へ進みたくないのか」、その理由をあくまで主人公に考えさせます。彼はそっとそばにいて見守っているだけです。でも行き詰まるといつかの7月29日に彼女が木野瀬/カガハル/篠原/部長/浅浪先生と過ごした思い出の場所に連れて行ってくれます。もちろん彼女に記憶はありませんが、全く何も感じないわけではありません。この寄り添うようなやり方、彼の過ごした数千年間がどんなものだったのかが窺える気がしてちょっと切ない。
主人公は最初こそ「まだ楽しみ足りないのかも」と現実逃避気味な答えを出しますが、結局勇気を出して母親と対話しようとします。そのために本を読み漁ったり、仲直りと感謝のプレゼントを選ぶのに一生懸命になったり、とても健気で良かったです。その甲斐あって一度はすれちがったものの、以前母親が浅浪先生に預けていた手紙で彼女の本音を知り、無事和解に成功します。さらにはクラスメートの友人もでき幸せいっぱいな主人公。

しかしこの時点では1日ループはまだ終わっていません。せっかく仲良くなれた母も友人も、寝て起きたら元のよそよそしい関係に戻ってしまいます。そこでようやく主人公は実感できるわけです。「明日が来るっていいことかもしれない」ということと「みんなの明日を奪ってきたというのがどういうことなのか」についてです。
ちなみにさらっと書いてますが、今作で一番じんときたのは母親からの手紙です。なぜかその後の泣きながら抱き合うシーンより深く刺さりました。複雑な彼女の心情とそれでも根底にある深い母親の愛を感じるからかな…。
ようやく一歩踏み出すことを決めた主人公は、その後実はループを終了するときにもう一度だけ1年前に遡ること、その際に当然これまでの記憶は消えてしまうことを聞かされても今度こそ立ち止まりません。記憶喪失後の主人公が科学部に入学できる確率は1割ほどで、残りは学校も行かず内に籠ってしまうと知っててもです。そんな彼女と綿森、科学部のメンバーはこれが本当に最後と、7日間めいっぱい楽しんで過ごします。ここよかったですね!翔君も来て、ようやくフルメンバーって感じで。

そして迎えた最後の7月29日、ループ間際に最後の種明かしです。
かつてツリーの休眠に伴い異空間に囚われていた綿森。彼がこの世界に帰ってこれたのは、最初にループが発動した時=主人公が高校2年生の7月29日です。つまりラストループで彼女が高校1年の7月29日に戻ったとき、綿森だけは(その時点では本来異空間にいるはずので)現実にはどこにも存在していないことになります。つまり消えてしまうんですね。おまけにその後主人公がループ発動させないとすると永遠に戻ってこれない可能性も…? この辺はタイムパラドクスとかあるので一概には言えないでしょうが。
さすがに躊躇う主人公に、それでも綿森は「ループを止めて」と願います。彼の願いを受け入れてしっかり前を向く主人公を後ろから抱きしめて、最後に「君のことが大好きだったよ」と告げて消失。「たとえ自分は消えてしまっても…」という展開は王道ですが、やっぱり美しくていいですね。今までほとんど匂わせもしなかったのに最後の最後に一言だけ告白というのも素敵です。
EDで帰ってきますけどね! 何が起きたのか、ラストループ後再度迎えた高校2年の7月29日では、綿森は主人公と同じく1年前に記憶喪失の状態で保護された青年ということになってます。主人公と同じ高校に編入し二人とも科学部に所属、さらに主人公は親子関係も良好とまさに大団円。
個人的にほんのり切なさが残りましたが、やっぱりハッピーエンドでよかったです。
恋愛……は仄かすぎてどちらかというと綿森さんによる主人公へのセラピーが主なルートだったように思うのですが、なんかみんな幸せそうだったからもうなんでもいいです。色々あったしこれからもあるけど科学部の皆なら明日はいい日なんです、きっと。

 

 

フルコンプ感想

さーてこっからさらにぐだぐだフルコンプしての感想タイムです!
とりとめないにもほどがある仕上がりになってるうえに後で上げる予定の総評と重複してる可能性があります。それでもよろしい方だけお願いします。

終わってみると凄いゲームだなーと思います。
正直もっとこう、シナリオ重視の男性向けゲームにあるような真相でとどめを刺すタイプのゲームだと思っていたんです。全然違いましたね。
ループものは数あれど、これほど「明日が来ないということ」をただの高校生目線で突き詰めた作品はそうないんじゃないかと思います。
イムループという世紀の大事件が起きているのに、特に世界が滅ぶだの壮大な話は出てこない。主人公はなんと所属している部活が終わらずに済むとひっそり喜んでいる。でもこれがリアルな反応ですよね。
繰り返す7月29日というSF的下敷きはあれど、あくまで主役は普通の高校生たち。乙女ゲームらしく生々しさは感じさせず、それでいて等身大の彼らの葛藤を描ききった手腕は本当すごいなーと思います。その結果派手さはない慎ましやかな作品になっているとも感じますけど。

元々ループものとマルチEDのADVは周回するという点でプレイヤーと主人公が同期しやすく親和性が高いかと思うのですが、夏空の特徴は、このゲームの中で起きたことを最終的に登場キャラクター全員が忘れてしまうこと。
部長は事情は大体察しているようですが記憶があるわけではないですし、主人公も、これまで唯一の記憶保持者だった綿森もちろん何も覚えてません。
この辺の「登場人物たちは忘れてしまったけど、プレイヤーはあの夏の日を覚えている」というシチュエーションが、何とも言えないもの悲しさをプラスしてきて素晴らしいです。数千回繰り返したあとの奇跡のような7月30日なんだよ…と訴えてもきっと伝わらないこの切なさ。
あ、私は勝手にしんみりしてますけど、作品的には作中何度もデジャヴという単語が出てきたように、「忘れてしまってもなかったことにはならない、繰り返した日々は無駄にはならない」という結論ですので爽やかな終わりですよ!実際ハッピーエンド掴み取ってるし。

ただ個人的に萌えは薄かったです……。みんないい子なだけに、はらはらしてそれどころじゃなかったというか。この子たちがその後恋人としてどうなるかなんかのビジョン(妄想ともいう)がぜんっぜん!見えない!!
さらに個人的に大変残念だったのですが、泣きゲーとして有名なこちらの作品でも結局一度も泣けませんでした…。錆びついた蛇口か!?っていうくらいゲームでは涙腺が反応しないので、それでも夏空ならあるいは…!という期待で挑んだんですけどね。本当に残念です。

 

最後に綿森ルートでも気になってしょうがなかった沢野井部長の言動で〆。

※思い出しながら書いているので、台詞は正確じゃないです。

・「宗助は優しいから、いつも目的を諦めてしまう」
何度ループしても結局目的(過去改変)をやめてしまう部長を見ていた綿森の評価。
・「八つ当たりだ!!ごめんなさい!!!」
父の友人である綿森に実際に会ってみて、彼のための研究のせいで父は冷遇され亡くなったとなじったあとの台詞。素直に否を認められるのはすごい。
・「統計学などクソくらえだ!これは科学部のお別れ会などではない!明日への祝賀会だ!」
ラストループ前、誰も記憶を保持できないとわかっていても科学部の絆を信じた部長の台詞。あの非科学的なことを嫌う部長が!と思うとより感慨深い。一番好きな台詞です。

 

 

 

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*1:主人公が記憶喪失になった頃

*2:メタ的に言うと各種EDを経験して