トランクルームとスレイベル

ゲームの感想 乙女ゲ多め

薔薇に隠されしヴェリテ プレイ感想+キャラクター感想①

悠久のティアブレイド、下天の華with夢灯り愛蔵版発売おめでとうございます。

今日中に届きそう&受け取れそうで一安心。

薔薇に隠されしヴェリテは残すところ「お前かよ!」とびっくりした隠しキャラのみです。以下ほぼフルコンプっぽいプレイ感想とフェルゼン・ダントン・ラファイエットのキャラクター感想です。ネタバレしまくりの上今回同スタッフの別ゲー(華ヤカ)ネタが少々入りますのでご注意を。

 

 

 

 

 

(ほぼコンプ)プレイ感想

初回プレイ時は16時間、二周目以降に6時間ほどかかっています。
攻略人数はおそらく隠しを含めて6人。エンディングは史実EDとSPEDの二種類あり、これらを見るだけなら攻略はそう難しくないです。貴族出身なら貴族PTを、平民出身なら平民PTをあげ、好感度80を目安に調節するとそれ以下で史実、それ以上でSPが見れます。
ただしスチルコンプリートしないとSPED後の後日談が見れず、単純に上記の攻略では埋まらなかったキャラがいました。この辺は攻略サイト様を参考にした方がいいかも。

ゲームシステムについて

マップ画面でできることは主に以下の行動。今作はパラメータ育成要素はないです。
・イベント
・ラ・ジュスティス(クエスト)
・掃除
・ジュ・ヴォーグ(衣装替え)
・読書
上二つ以外は攻略には関わってこないので、オマケ要素の面が強いです。
また周回で達成状況が持ち越せるのでトロフィーコンプ派も最終的にやることはなくなってきます。作業自体も非常に単調。おつかいゲーが結構好きなため、クエストが当時の生活様式や文化形態の雑学を読むだけに終始してしまったのは特に残念でした。
他気になったのはまずマップ画面のロードに非常に時間がかかること。3DRPGほどではないですが、Vita乙女ゲームにはあまりない切り替えの遅さです。あと今回は通常のVitaとVitaTV交互に使用していたのですが、初めて見るエラーでVitaTVの方の電源が落ちました。ただこれはマップが重いせいなのか本体側の問題かは不明です。
それからシーンスキップ機能の微妙な使いにくさ。選択肢、CG、未読部分があるかどうかを最初に表示してくれるのですが、Aルートにのみ選択肢がある場合でも、他のどのルートのイベントでも選択肢部分にチェックが入っています。また検証したわけではないので絶対とは言えませんがシーンのいくつかは「スキップしない」を選んでいてもイベントスキップされてしまったような。
そしてこれが最大の問題。シナリオでも触れますが、本作はエンディングまでの大筋は全員ほぼ同じです。合間合間にそのルートのキャラの立場にあった追加イベントと、恋愛イベントが入る感じ。にも関わらず、個別√に入るChapter5以降イベント内容が以前攻略したキャラのものと全く同じであっても全て未読扱いです。周回を重ねるとこれが非常に苦痛でした…。強制スキップをうまく使った方がいいかもしれない。金太郎飴は得意じゃないけど、コンセプトや理由がきっちりあるならそれはそれでありとは思います。でももう少しプレイヤーの負担も考えて欲しかったです。

シナリオについて

ものすごく史実寄りのシナリオだと思われます。
作中で20年以上経過しているとは思えないので年号改変、短縮はなされているかと思われますが、どのルートであっても「マリー・アントワネットの輿入れ→トラブルにより入れ替わったためパリにやむなく滞在→(独立戦争。ゲーム中ではシーン省略されており、暗転してモノローグの身で4年ほど時間が進む)→フランスの情勢悪化→革命」を辿ります。そして史実通りメインキャラがほぼ死にます。死なないのは攻略中のキャラだけで、しかもそれもSPEDの時のみ。というよりED二種の違いは、実は生きていたんだ!的後日談がつくかどうか。よってコンプ派ではない人には史実EDを見る意味は薄いかも。
マリー・アントワネットと入れ替わって善政!史実改変!」とかはないです。そもそもマリー・アントワネットと入れ替わっているのは共通ルート冒頭の2,3回のみです。入れ替わりはあくまで主人公の運命の決定やキャラクターと出会うきっかけにすぎません。絶対にあると思った入れ替わって王妃の代わりに処刑EDが(今のところ)なかったのもびっくりした。
つまり主人公は王妃の侍女(しかもほとんど相手にされない)以上でも以下でもなく、物語の主軸である変化期のフランスに影響を及ぼしたかというとそうでもないです。そのため√によっては非常に影が薄い。これに伴い恋愛も全体的に糖度低め。本来恋愛脳はあまり好きではないんですが、今回はそれくらいのキャラの方がちょうどよいくらいでした。
硬派な歴史ものをやりたい!激動の時代に巻込まれる攻略キャラクターたちの運命を見届けたい!という方にはおすすめですが、高木さんの乙女ゲームがやりたければ悪いことは言わないので「華ヤカ哉、我ガ一族」をどうぞ。

 

 

 

フェルゼン伯爵 (CV興津和幸)

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恋に生きるスウェーデンの貴族。
彼は多くの女性と浮名を流す色男ですが、今まで会ったことのない(彼に口説かれてもその気にならない)タイプの主人公に興味を持ち口説いてきます。しかし中々本気にされずに、一度はもういいやと拗ねるというか諦めるそぶりも見せるのですが、そもそも「王妃の姿の(王妃らしからぬ振る舞いの)主人公にしか興味がない=本当の姿の主人公には興味がない」と序盤で本人に宣言したりしているので大概自業自得。この状態で「やっぱり中身にも興味ある、本気であなたが好きです」と言われてもちょっと無理があるかなーと。
フェルゼンに一度そっけなくされたこと、また彼が独立戦争に出兵したことで、主人公は想いを自覚。ちょっと気になるレベルだったフェルゼンと帰国する4年後にはいきなり相思相愛の恋人みたいな関係になっててびっくりしました。あれかな、会えない時間が恋を育てたのかな…。そこをちょっとでいいからシーン入れてほしかったです。
再会のシーン、これまでの恋愛経験値はなんだったのかというレベルで初心になっているフェルゼンは可愛かったですが、「(~したりして)ずっと待ってたんです!」と主人公が発言しても、プレイヤー側には覚えがないのでイマイチ思い入れも感動もできない。
しかし物語後半、*1主人公を含む王族一行を暴動から守り亡命させようとするフェルゼンはすごい頼りがいがあるように見えてかっこよかったです。ラファイエットが途中で裏切るので余計に。この√が初回だったせいかもしれませんが、「愛する彼女の主に最後まで仕えたいという姿勢ごと守るために、異国の貴族でありながら命を懸けた」感がしてすごくよかったです。まあ、他ルートでも同じ行動をするし亡命自体は失敗してしまうのですが。
ただ他のルートでも思ったのですがこのゲーム、まずは史実をベースに各キャラ主人公がいる状態で共通の本筋を作って、それを前提に個別を作ったのではないかという気がしました。わかりにくいですね、すみません。つまりたとえ他のキャラルートでもフェルゼンはやっぱり王家につき、命がけで亡命の手伝いをします。でも他ルートだとどうしてそこまでするのかという根拠が薄い。元々フェルゼンはミロワール会に参加した理由も暇つぶしにすぎない*2人ですし。そこで理由に「恋人のため」を置くと愛に一途というキャラクター設定的にはしっくりきます。というか…そうとでも考えないといよいよ主人公の存在意義が…。
製作者側にこの物語はこういう流れでこういう結末、という毅然としたスタンスがあるのは構わないのですが、その結果主人公の魅せ方とか乙女ゲーム要素が割を食うのはどうなのかなと思わなくもないです。

 

 

 

ダントン (CVうすいたかやす)

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貧しい人たちを救うために、と弁護士をやっている青年。
彼は最初から主人公に好意的だし同情的。その延長で、マリー・アントワネットに振り回される主人公をほっておけずに気にかけているうちにいつの間にか好きになっています。先行き不安な彼女をとにかく安心させたいと出した結論が「身を固めればいいんじゃないか???」というもので、

(ダ ゚∀゚)o彡゜「結婚結婚!」

(主; ´Д`)落ち着け

みたいなルート。あれ…これ博(華ヤカ)でも見たような。
段階をすっ飛ばして結論ありきで行動しているので主人公は困惑。イマイチ乗り切らない態度に、一人空回り気味に盛り上がっていたダントンは「思わせぶりな態度を取りやがって!出てけ!」と宿から追い出してしまいます。ここ最高に余裕がなくて笑いました。ちゃんと迎えに来てくれてよかった。それでようやく先走ってごめんゆっくり仲を深めよう…となります。
こんな感じでダントン本人は迷いの多い「切っ掛けを待つ男」。

貧しい人たちを救う弁護士になるという漠然とした目標はあったものの、平民に裁判は馴染みが薄く何より彼らは食べるものにも困ってそれどころではない。途中主人公に求婚するために安定した収入が必要となったこともあり、やむをえず王宮弁護士になったりもします。平民に負担を強いる現体制は変えなければと思っていますが、ロベスピエールほど犠牲に関しては割り切れず、また彼の強行的な姿勢に疑問を持っているため言動は一貫しているとはとても言えず、かなりぐだぐだ。

そんな彼は自分の取るべき道をはっきりと確信できるような何か「切っ掛け」を最後まで待っています。普通の作品なら何か劇的なことが起こるのでしょうけど、そこは薔薇ヴェリ、起きません。最後の最後、彼が腹を括るころには既に諸々のっぴきならない状態になっていて選択肢も限られたものでした。結局この行動が原因で処刑されてしまいますし。前述のぐだぐだとあわせて、この辺の妙にリアルな感じもこのゲームの特徴です。
ほぼダントンのお話になってますが、それもそのはず。このルートでは、主人公は独立戦争出兵前の段階で侍女を辞め、既に王宮から遠ざかって久しい立場です。このため個別に入ると激動の頃の王妃側とはほぼ接触がない、かといってダントンたち革命側に積極的に関わるでもないので、物語の本流から外れ主人公の霊圧はほぼ消えかかっています。基本宿屋で待機で、ダントンの行動も革命についても噂から漏れ聞くシーンで出てくる程度です。なので2人の間に何があった、などの印象が非常に薄くちょっともったいないと思ったルートでした。
ここまでプレイした段階で、ようやくこれはあくまでも「フランス革命の関係者の物語」なのかもしれないと気づきました。主人公の行動は一侍女の範囲におさまるもので、どちらかというと傍観者とか目撃者に近い立ち位置なんだろうなーと。

 

 

 

ラファイエット (CV鳥海浩輔)

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王に仕える堅物な貴族。貴族でありながら軍にも所属している。恐らく本作最萌。
王太子妃と入れ替わっていた主人公を王家に害なす存在ではと疑っていたのは最初期だけで、自身がルイに身代わりの薬を飲まされてからは事情を察して普通に気にかけてくれます。仕えるべき相手にどういう姿勢で接するか、もしくはこのまま仕えるべきか悩む主人公の姿にシンパシーを感じていたのかも。
出兵前までは危なっかしいドジっこ侍女をほっとけない真面目な上司みたいな関係だったのに、帰ってきたらフェルゼン同様会えない時間が(ryでやっぱり一気に関係が進展していました。描写…プリーズ…。あと一旦スイッチはいると結構甘めな台詞多くてさすが腐ってもフランス貴族…となりました。
戦争でアメリカに行った経験などを経て彼が悟った己の使命とは「弱きもの(=民集)を守る」であり、その結果革命の際には国民軍司令として平民側に立って王族を監視します。このルートでは主人公はずっとマリー・アントワネット王妃の侍女なので、敵対する立ち位置に。ラファイエット的には主人公も弱き者なのか、反王家の風潮が高まる中幾度となく侍女を辞めて自分の庇護下に入るよう説得してきます。が、暴動を経験している主人公も「今自分が見捨てたらアントワネット様はどうなるのだろう」と申し出を断り続けます。作中でも言われていますが、軽いロミオとジュリエット状態。それでも、想いあっているのは嘘ではないからとチュイルリー宮殿に軟禁されつつも2人で時間を作ってデートの約束をするのですが…。
ここからラファイエット√個人的ハイライト。間が悪くデートの日前夜が亡命計画決行の日になってしまいます。ラファイエットを気に掛けつつも、自分のミスが全体の失敗に繋がるので何もできない主人公。朝を迎えて、主人公を含む国王一行が宮殿内にいないことに気付いたラファイエットさん、「命令に逆らえずについてったのか」「フェルゼン*3に無理やり連れて行かれたのか」「自分を裏切ったのか」「約束も自分を油断させるためのものだったのか」「絶対に許さん」と恨み骨髄。この手で捕えて問いただす!と副官に化けたフェルゼンの攪乱もなんのその、自ら現場に出て一行を追います。追跡中めちゃくちゃキレてて恨み言もいっぱいで逆転版道成寺ぽくてとても萌えました。捕まって結局想いの上では裏切っていないけどやむを得ないこともある、と運命を口にするところも最高に女々しくて素敵でした。
√によっては主人公にそっけないまま終盤を迎えるキャラクターもいるので、尚更ラファイエットの何度断られても「自分の傍に来てほしい」と説得し続けたり裏切られると怒ったり執着が目に見えるところがツボに入ったんだと思います。

 

 

試験的に台詞ぽい部分は色を変えてみましたがどうでしょう。見にくかったらやめます。

*1:このルートは貴族側ルートのため、主人公は革命を経てどんどん立場が悪くなるマリー・アントワネットに侍女としてずっとついていく

*2:ゆえに彼の身代わりの薬の主な使用理由は主人公の自分への想いを第三者のふりして聞くため。そしてラファイエットルートでもこの使い方を彼にすすめている。ブレない。

*3:直前にラファイエットを煽るために主人公に気のあるそぶりをするイベントがある